2020/11/26 財政審/21年度予算編成で建議/社会資本整備、維持更新コスト増加抑制を

【建設工業新聞  11月 26日 1面記事掲載】

財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)は25日、国の2021年度予算の編成に向けた建議をまとめた。社会資本整備に当たっては人口減少を踏まえ、長寿命化や新規整備の重点化で維持更新コストの増加を抑制するよう要請。ハザードエリアの居住抑制といったハード、ソフトが一体となった防災・減災対策、交通ネットワークの強化などを要請した。

同日に財政審の榊原定征会長(東レ社友)が麻生太郎財務相に建議書を提出した。

社会資本の整備では人口減少に伴う人口1人当たりの維持管理コストで増加を懸念。厳しい財政事情なども考慮した上で「予算規模の量的拡大よりも優先順位を付けて配分の重点化をしっかりと推進することが肝要」と指摘した。

維持更新コストの抑制に向けては、自治体管理の橋梁の多くで修繕が進んでいないことに加え、長寿命化策を盛り込む「個別施設計画」で費用縮減などの記載が不十分と問題視。費用縮減策の計画記載を国費補助の要件にするなど、自治体によるインフラの老朽化対策を加速する方策を検討すべきだと訴えた。併せて、新技術やPPP/PFIの導入促進といった課題も挙げた。

ハード、ソフト一体型の防災・減災対策では、自治体による災害危険区域の指定を促進。水害リスクに基づく開発規制の導入検討を求めた。自治体や事業者などあらゆる関係者が協働する「流域治水」の実現に向けた体制構築も要請した。

整備新幹線の整備費用に対する精査なども求めた。北陸新幹線(金沢~敦賀間)の整備費が大幅に増加した事案は、早急な原因究明と再発防止策が必要とし外的な説明責任を果たすよう国土交通省に求めた。

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