2021/03/31 国交省、建設4団体が意見交換/技能者賃金水準引き上げで一致

【建設工業新聞  3月 31日 1面記事掲載】

国土交通省は30日、日本建設業連合会(日建連)と全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体と、技能労働者の賃金水準の引き上げに向けて取り組むことで一致した。2021年は「おおむね2%以上」の賃金上昇率を目指す目標を掲げ、関係者の努力で好循環を生み出す。22年以降も経済状況などを踏まえつつ継続して賃金水準のアップを目指す。

赤羽一嘉国交相は同日に省内で開かれた建設業4団体との意見交換会で「行政、発注者、元請、下請などすべての関係者が一体となって、あらゆる施策を総動員し賃金上昇の好循環を継続していきたい。皆さんと一緒にそのための取り組みを進めていきたい」と呼び掛けた。これを受け各団体は、技能労働者の賃金水準引き上げに向け官民で取り組むことを求めた。

技能労働者の賃金水準は、13~19年の賃金上昇率が年平均2・7%(製造業1・2%、全産業1・1%)で推移してきた。技能労働者の処遇改善に向け、公共工事設計労務単価も13年度から9年連続で上昇している。だが3月適用の新しい労務単価は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ特別措置を講じ、全国・全職種の単純平均で1・2%の引き上げとなった。特別措置がなければ42%の地域・職種がマイナス改定だった。

技能労働者の賃金の引き上げが労務単価の上昇に通じ、適正利潤の確保やさらなる賃金の引き上げにつながる好循環を継続し、持続可能な建設産業であり続けられるか分岐点に立っている。赤羽国交相は賃金下落の負のスパイラルに再び陥らないよう、関係者が危機感を持って取り組むよう求めた。

国交省は技能労働者の賃金引き上げに向けた官民の取り組みの方向性を提示した。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(21~25年度)などにより持続的、安定的に公共事業量を確保し、公共工事を着実に実施。建設キャリアアップシステム(CCUS)などを通じた適正な水準の賃金支払いや、ダンピング受注の排除などに官民挙げて取り組むとした。

意見交換会には、日建連の山内隆司会長と宮本洋一、押味至一両副会長、全建の奥村太加典会長、全中建の土志田領司会長、建専連の才賀清二郎会長ら4団体の幹部が出席。技能労働者の賃金水準の引き上げ以外に防災・減災、国土強靱化やCCUSでも意見交換した。

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