2021/05/07 工事一時中止-5割超の現場で発生/適正工期設定と条件明示が必要/日建連会員調査

【建設工業新聞  5月 7日 1面記事掲載】

5割超の現場で工事の一時中止が発生--。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が会員企業を対象に実施したアンケートで、全体の56%の現場で工事の一時中止が必要になったと回答した。半数で中止期間が3カ月を超えていた。用地取得の未了や前工事の遅れなど受注者に非のない理由が大半を占めたものの、発注者による中止命令が出ていないケースも少なくない。設計変更が適切に行われず、工期延伸や費用の増加が認められていない現状が浮き彫りになった。

12日の関東地区でスタートする国土交通省地方整備局などとの2021年度意見交換会に備え、日建連は複数のアンケートを実施した。受発注者による工期の共同管理状況について40社を対象に調査し、1247現場から回答を得た。内訳は▽国交省(道路・河川)279件▽同(港湾・空港)177件▽高速道路会社210件▽機構・事業団170件▽地方自治体(都道府県、政令市)411件。

工事一時中止について「必要があった」と回答したのは56%。うち発注者から一時中止命令が出たのは40%で、16%は命令が出なかった。命令の出た368現場のうち、38%では費用変更が認められなかった。変更が認められた現場のうち、5割以上が52%、5割未満は10%だった。

工期短縮に必要な費用についても質問した。竣工が近く工期短縮を求められ、費用がかかった現場を見ると、国交省(道路・河川)や高速道路会社では多くの現場で必要費用の8割以上が認められていた。一方、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の現場では必要費用の半分しか認められていない現場が3割を占める。

工期を満たす対応として、施工パーティー数を増やした現場が52%と最多。プレキャスト(PCa)の採用や施工機械の大型化が22%で並び、新技術の採用が11%で続いた。

適切な工期設定や現場の条件明示は週休2日を実現する上で欠かせない。日建連は、施工条件の変化に適時適切な対応を図るための受発注者間のルールづくりが必要だと訴えている。工程の共同管理に必要な会議として、北陸地方整備局は工事着手前の施工条件確認部会と施工中の工程調整部会、近畿地方整備局では施工中の設計変更審査会の開催を入札公告の特記仕様書に明記している。他の整備局でも同様の対応を求めていく。

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