2021/06/02 国交省/オンライン電子納品、21年秋にも本格スタート/先行工事選定し課題検証

【建設工業新聞  6月 2日 1面記事掲載】

国土交通省は直轄土木工事の一部を対象に、今月中旬からオンライン電子納品の運用を開始する。7月下旬までに工期を迎える工事を中心に、各地方整備局で7~8件の対象工事を選定。受発注者による操作性の確認や、通信環境の負荷測定を通じ運用面の課題を洗い出す。8~9月をシステム調整に充て、秋ごろには全工事を対象とした本格運用を開始する予定だ。

先行的に運用開始する一部工事の受注者を対象とした説明会を1日にウェブ会議形式で開いた。各整備局管内事務所やASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)を提供するベンダーも参加。オンライン電子納品の流れや各段階の作業手順、注意事項を説明した。

現在は電子成果品(打ち合わせ簿や報告書、図面など)を原則CD-ROMで納品している。インターネットを介した納品に切り替えることで一連の手続きの効率化を図る。電子成果品のチェックや差し戻し作業の負担軽減など、受発注者双方の省力化につなげる。

先行運用の一部工事では受発注者ともにASPを利用し、オンライン電子納品を実践する。運用開始に当たって電子納品・保管管理システムをクラウドサーバーに設置。ASPの電子成果品を仮登録サーバー経由で保管管理システムに送信する。

オンライン化によって電子納品の格納率を引き上げる効果も見込む。以前まで保管管理システムは各整備局に設置され、相互閲覧できなかった。クラウドサーバーを使った全国統合版システムとすることで、施工後の維持管理や他の用途にデータ利活用の幅が広がっていく。

先行運用には、実践を通じシステムの不具合などを発見し、本格運用に向け改善する狙いがある。先行運用対象工事の受注者には実施後のアンケートに協力してもらい、本格運用前のシステム調整に役立てる。先行運用は工事を対象とし業務は対象外とした。

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