2023/03/30 国交省、建設4団体/技能者賃金水準23年に5%上昇目指す、意見交換で申し合わせ

【建設工業新聞  3月 30日 1面記事掲載】

国土交通省と建設業主要4団体は、技能労働者の賃金水準の上昇率として2023年に「おおむね5%」を目指すことを申し合わせた。過去2年に業界共通の賃上げ目標を掲げて成果を上げてきたことを踏まえ、大幅な引き上げとなった公共工事設計労務単価に相当する賃金が末端の技能者まで適切に行き渡るよう、それぞれの立場で可能な取り組みを実行する。時間外労働の罰則付き上限規制の適用が1年後に迫る中、週休2日の確保などにより工期の適正化に官民で取り組むことも併せて合意した。

斉藤鉄夫国交相と日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体が29日に開いた意見交換会で、国交省からの提案に各団体が応じた。

21年は「おおむね2%以上」、22年は「おおむね3%」の賃上げ目標を設計労務単価ベースでクリアしてきた。3月に適用した設計労務単価は全国・全職種の単純平均で前年度比5・2%の引き上げとなり、その水準に相当する新たな目標を設定することにした。

政府の物価・賃金・生活総合対策本部が2月に開いた会合では、岸田文雄首相が「設計労務単価の引き上げが現場に着実に届けられ、公共事業に参画する企業で働く方々の賃上げにしっかりつながるよう万全の対応を進めてほしい」と斉藤国交相に直接指示した。

この岸田首相の発言を引き合いに出し、斉藤国交相は「実現には現在の流れが地方自治体や民間の工事にも広がり、技能者の賃金水準の上昇につながる好循環が持続できるよう、官民一体となった取り組みの一層の推進が必要不可欠」と4団体の幹部らに訴えた。

斉藤国交相は時間外規制にも言及し「働き方改革の推進や生産性の向上が最重要課題」と強調。国交省として週休2日を前提とした工事発注に加え、厚生労働省と連携した民間発注者に対する工期適正化の働き掛けを強める考えを示した。

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