2023/03/30 国交省持続可能検討会/最終会合で提言まとまる、商慣行見直し競争適正化へ

【建設工業新聞  3月 30日 1面記事掲載】

国土交通省の有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」が29日付で提言をまとめた。同日の最終会合で委員全員が了承した。大きく二つの観点で目指す姿を提示。請負契約の当事者間で協議プロセスを確保し価格変動などのリスクに対応できるよう商慣行を見直して、現場従事者へのしわ寄せとならないよう適正な賃金や工期を確保できる競争環境を創出する。

協議プロセスを確保する具体策として、見積もり時などに受注者から注文者への情報提供を義務化。請負代金に含まれる予備的経費の明示など透明性の高い契約手法の確立も目指す。価格変動への対応として民間工事標準請負契約約款の利用を促すなど請負代金変更のルールを明確化する。

適正な賃金や工期の確保策として、受注者による労務費圧縮につながる廉売行為や過度な短工期での請負契約を制限。下請が適正賃金の支払いを元請に誓約する「表明保証」を取り入れ、技能者が自らの能力に応じた賃金を把握する目的で建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収を明示する。

こうした施策の実効性を確保するためICTを活用した施工管理による施工体制の「見える化」や、民間発注者を含めた許可行政庁による指導・監督の強化も打ち出す。国交省は4月以降、中央建設業審議会などの場で法制度に落とし込む具体的な方向性を検討していく方針だ。

最終会合の冒頭、長橋和久不動産・建設経済局長は「持続可能」という会議名称に込めた危機意識に触れて「建設業は海外輸入に頼れず、現地で生産力を維持していかないといけない。若い人に技術を継承し、建設業として持続していく必要がある」と訴えた。委員らの熱心な議論に感謝の意を示しつつ、提言を「しっかり行政として受け止め、今後は関係業界と議論しながら、どう運用していくか詰めていく」と語った。

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