2023/04/03 働き方改革―関東地域/時間外上限規制まで1年、受発注者待ったなしの対応続く

【建設工業新聞  4月 3日 5面記事掲載】

働き方改革を巡る地域の動きが活発化している。関東地方整備局は3月28日に働き方改革関連の施策パッケージを公表した。地域の労働局と時間外労働についてコミュニケーションを取る場も設けた。建設関係団体からの要望が相次ぎ、発注機関の対応は加速している。時間外労働の罰則付き上限規制の適用まで1年。受発注者とも待ったなしの対応が求められる。=1面参照

「このままいけば2024年4月の法規制でいきなり感が拭えない」。群馬県建設業協会の青柳剛会長は、地域建設会社の現状を昨年からそう捉えてきた。会員企業では時間外労働の削減が進みながらも、総労働時間の削減を目的とした4週8休の実現が22年9月時点で約2割にとどまる。神奈川県建設業協会横浜支部は「現状では週休2日制の実現は困難」として3月30日に横浜市に余裕ある工期設定などを申し入れた。4週8休や週休2日の現状と課題は関東の各地域にほぼ共通する。

そこで茨城県建設業協会は4月から会員企業が県内公共工事で努める一斉休工を毎週土曜日に拡大した。「働き方改革をより積極的に進める」(石津健光会長)のが狙い。発注者やほかの建設団体と普及を促す。県内は水戸市が4月から完全週休2日制モデル工事の対象を広げた。

4週8休達成相当の経費増額を見込んだ積算などに取り組んでいる千葉県は、週休2日制適用工事や週休2日交代制工事の発注を進める。千葉市は施工時期が限られる学校営繕工事などに関し、週休2日の考え方を関係部署と調整する。栃木県は、受注者の生産効率の向上にも貢献しようと、県土整備部がICTを積極的に活用している。

単価を見直す動きもある。長野県は4月から小規模補修工事で法定休日、法定外休日、年末年始に緊急補修を依頼する場合、単価を割り増す。「週休2日の推進に拍車を掛けたい」と県の担当者は話す。山梨県建設業協会(浅野正一会長)は、現場管理費の抜本見直しを求めている。埼玉県建設産業団体連合会が、調査・設計などの業務で最低制限価格制度未導入の自治体トップに直接、導入を求める活動を1月に始めた。既に2市が導入を表明した。

関東整備局は発注者協議会を通じて市町村に週休2日制の導入を要請していく。廣瀬昌由局長は「週休2日は働き方改革の象徴」と捉え、「(定着へ)アクセルを踏む」考え。上限規制は「(建設会社が)不安なまま(24年4月を)迎えないよう」労働部局との連携を密にする。「いいものを造る」を前提に、公共工事品質確保促進法に基づき働き方改革に「総合的に取り組む」方針だ。

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