2023/04/17 共通仮設費と現場管理費、算定率総じて上昇/国交省が公共建築工事の積算基準改定

【建設工業新聞  4月 17日 1面記事掲載】

国の各省庁が発注する建築工事の予定価格算出に用いる積算基準で、共通仮設費と現場管理費を算定するための率が見直された。改定前と比較すると、どちらの率も工事種別や工事規模、工期によってばらつきはあるものの、横ばいとなる一部のケースを除き、総じて上昇となる。公共建築分野では多くの地方自治体が国の積算基準を準用しており、今回の改定に追随する形で順次対応が進む見通しだ。

国土交通省が実態調査などに基づき「公共建築工事共通費積算基準」を3月29日に改定した。4月以降に入札手続きを開始する工事に適用する。共通仮設費率と現場管理費率の見直しは2011年以来となる。

今回の改定では▽建築工事(新築・改修)▽電気設備工事(同)▽機械設備工事(同)▽昇降機設備工事-のそれぞれで設定している率の計算式を変更。これまで設けていた率の上限値、下限値を廃止した。

国交省の担当者によると、実態調査では現場事務所の費用が増加していることが判明し共通仮設費率の主な引き上げ要因となった。この約10年で事務所内の執務環境改善が進展したことが背景にありそうだ。現場管理費率の引き上げ要因には、元請企業の従業員の給与や法定福利費の上昇などを挙げている。

これ以外に共通仮設費の内容などを一部見直した。例えば台風などに備えた災害防止対策のうち一般的な措置(屋外資材の移動・養生、外部足場の点検・補強など)は率計算に含まれるが、大規模な風災害対策として足場の養生シートや防音パネルの全面的な掛け払いなどを行う場合は費用を積み上げて計上できると明確化。災害時の機動的な現場対応につなげる。

建物本体工事に「その他工事」(造園工事、舗装工事、取り壊し工事など)を含めて発注する場合、その他工事分を共通仮設費率1%、現場管理費率2%で別途算定する例外規定は撤廃した。いずれも低い率に据え置かれていた運用を改め、今後は本体工事の一部として率を算定する。

国交省は改定内容を地方整備局などに通知し、都道府県・政令市にも参考送付した。

全国営繕主管課長会議など自治体関係者も参加する会合や公共建築相談窓口での対応を通じ情報提供し広く普及を促していく。

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