2023/05/17 与党/国土強靱化基本法改正案概要、実施中期計画を作成・5か年対策後も明確な見通し

【建設工業新聞  5月 17日 1面記事掲載】

与党が今国会への提出を目指している「国土強靱化基本法改正案」の概要が16日、明らかになった。現行の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」後も中長期的に明確な見通しの下で対策を推進するため、同対策の後継計画を含む「国土強靱化実施中期計画」を法制化。政府の国土強靱化推進本部(本部長・岸田文雄首相)の下部に、同計画の策定や「国土強靱化基本計画」の改定に向けて議論する会議体を設ける。

同日に東京・永田町の自民党本部で開かれた国土強靱化推進本部と内閣第一部会の合同会議で法案の概要が示された。法案の方向性は、昨年に自民、公明両党が設置した「防災・減災、国土強靱化推進PT」(座長・林幹雄自民党衆院議員)で検討してきた。

改正案の概要によると、国土強靱化政策の根幹となる「基本計画」に基づいて展開する施策に関する「実施中期計画」を政府が策定。同計画では計画期間や、実施する施策の内容、重要業績評価指標(KPI)を記載する。このうち、5か年加速化対策の後継計画に当たる部分として、重点的に推進する施策内容を抽出し、事業規模を明示する。

与党PTでは、実施中期計画の期間を5~10年程度を軸に議論していた。

このほか政府は国土強靱化推進本部の下に「国土強靱化推進会議」を置き、基本計画の改定案や実施中期計画案の作成時にヒアリングを行う。同会議では首相が学識経験者から議長を任命。20人以内の委員で組織する。

国土強靱化基本法は議員立法として2013年12月に制定された。国土強靱化政策は、現行の5か年加速化対策の実施やKPIによる進行管理などで大きな効果を上げてきた。5か年加速化対策や、前身の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」によって、災害時に被害を防止・軽減するなど、ストック効果を発現した事例も散見される。地方自治体や民間団体からは、対策の着実な実施と後継計画の策定を求める声が根強い。

与党は災害の激甚化・頻発化を踏まえ、法改正によって、実施中期計画や会議体に法的根拠を付与。対策を着実に進めるための環境を整備し、「国家百年の大計」として腰を据えて、強靱な国土づくりを推し進める考えだ。

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