2024/03/05 手形サイト、60日超を建設業法違反に/下請法の指導基準変更を踏襲へ

【建設工業新聞 3月 5日 1面記事掲載】

建設工事の下請代金の支払いで用いられる約束手形について、国土交通省は支払いサイト(期間)が60日を超える長期手形の交付を建設業法に違反の恐れがある行為として取り締まり対象とする方向だ。公正取引委員会が11月にも下請法で指導対象とする「割引困難な手形」のサイトの基準を「60日超」に変更すると決定。これを下請法の対象業種から除外されている建設工事の下請負でも踏襲し、元下間に適用する「建設業法令順守ガイドライン」に反映させる予定だ。

業法では元請の特定建設業者が下請代金の支払いで一般の金融機関による割引が困難な長期手形を交付する行為を禁じている。下請法に基づく手形の指導基準ではサイトが120日(繊維業に限り90日)を超える手形を指導対象としており、この基準を法令順守ガイドラインで踏襲している。

公取委は指導基準を全業種で60日に変更する手続きを2月28日に開始。意見募集を経て4月中にも成案を公表し、半年程度の周知期間を置いて11月から運用する方針を示した。建設業者による設計などの業務委託、メーカーなどへの資機材の製造委託には下請法の指導基準が適用される。同時期からの運用になるかどうかは未定だが、建設工事の下請負には法令順守ガイドラインの改定で対応することになる。

全国銀行協会の2023年3月時点の調査によると、建設業者の手形利用率は全業種平均より高く、特に受け取る側が「利用をやめたい」と希望する割合が他産業より多かった。

国交省と中小企業庁の23年度下請取引等実態調査(元下調査)ではサイトを「60日以内にしている(予定を含む)」は77・9%で、前年度から1・1ポイントの微増となった。

元下調査ではサイト短縮の予定がない理由を「慣例」とする回答が最も多く過半数を占める。政府は26年の手形の利用廃止に向けた取り組み促進を閣議決定している。

今回の基準変更も念頭に早急な対応が求められ、国交省は引き続きサイト短縮に加え、振込払いや電子記録債権への移行を促していく考えだ。

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