2024/03/11 政府/業法・入契法改正案を閣議決定/労務費規制は1年半以内施行

【建設工業新聞 3月 11日 1面記事掲載】

政府は8日、建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の一括改正案を閣議決定した。将来にわたる建設業の担い手の確保を狙いに、技能者の処遇改善につながる適正な労務費の確保と下請までの行き渡り、資材高騰分の適正な価格転嫁を促す措置などを講じる。著しく低い労務費などによる見積もり提出と見積もり依頼の禁止、受注者による工期ダンピングの禁止など見積もり・契約に関する規制は、公布日から1年半以内の施行を目指す。

国会での法案審議を経て6月23日の会期末までの成立を目指す。閣議後会見で斉藤鉄夫国土交通相は、法改正を契機に「持続可能な建設業の実現を目指していく」と決意を述べた。

今回講じる措置について、斉藤国交相は「建設業界だけでなく、発注者にとっても非常に重要」と強調した。「発注者となる企業などにとっても建設サービスの提供を今後も持続的に受けられるようにするためのもの」との認識を示すとともに、経済成長や防災対策などの公共・民間投資を担う建設産業が持続可能でなければ、経済全体に大きな影響が及ぶと指摘。担い手確保に向けた処遇改善と働き方改革に「経済全体で相互に協力して取り組んでいくことが必要だ」と訴えた。

改正事項のうち、資材高騰に対応した価格転嫁対策として新たに規定する請負代金の変更協議に関するルールは、公布日から6カ月以内の施行を目指す。受注者から注文者への「恐れ(リスク)情報」の通知を義務化し、注文者には契約変更協議に誠実に応じる努力義務を課す。

現場技術者の専任義務を合理化しICT活用などを要件に兼任を可能とする新制度も、公布日から6カ月以内の施行を想定。中央建設業審議会(中建審)に「労務費に関する基準(標準労務費)」の勧告権限を付与する措置は、公布日から3カ月以内の施行となる。

今回の業法改正には建設業界からも「発注者と受注者の対等なコミュニケーションが促進されるようになることを望む」(宮本洋一日本建設業連合会会長)などと期待の声が上がる。

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