2024/03/15 国交省/建機の自動施工で標準的な安全ルール策定、24年度に実現場で試行

【建設工業新聞 3月 14日 1面記事掲載】

国土交通省は建設機械の自動運転を前提とした建設現場の安全ルールを近く公表する。関係業界団体や行政・研究機関が参加する協議会でルール案を了承。民間技術17件の現場検証で把握した安全確保に必要な共通・類似事項を盛り込んだ。2024年度に直轄工事の実現場で試行する方針。標準的なルールを自動施工の導入現場で共有し安全対策の向上につなげる。労働基準監督署や発注者に説明する内容の明確化で事務作業の簡略化にも役立てる。

12日に「建設機械施工の自動化・自律化協議会」の第4回会合を開き、「自動施工における安全ルールVer.1・0」の案を説明した。自動施工の実施者として▽製造者など▽販売者など▽施工者など▽使用者-の四つの役割ごとにルールを明確化。茨城県つくば市の「建設DX実験フィールド」などで23年10月から順次行った民間技術の現場検証の結果を安全方策に反映させた。

施工者などには自動建機の稼働範囲を考慮し、▽無人エリア▽有人エリア▽立ち入り制限エリア-の3区分を原則としたエリア設定を必須とした。施工内容や現場条件を踏まえ、安全を確保できる十分な面積を確保するよう求める。

その上で逸脱・侵入防止対策や接触防止対策、エリア監視などの措置を講じてもらう。現場内の運用体制を確立し、それぞれの役割や担当範囲を決めておく必要性も明記。安全管理や立ち入り制限の内容、緊急時の対応に関する現場入場者への教育訓練も必須とし、現場関係者の認識不足に起因する事故の発生を防ぐ。

自動建機や関連設備に必要な機能も列挙し、今後の技術開発の効率化も視野に入れる。あくまで自動施工のルールとして設定したが、遠隔施工にも必要に応じ準用してもらう。

実現場での試行に当たって、省内調整を担う「現場普及ワーキンググループ(WG)」を年度内にも設置。試行工事でルールの適用性などを検証し、その結果に応じルールを随時更新する。将来的なモデル工事の導入や適切な入札契約方式も検討する。これとは別に、自動施工を前提とした施工監理基準や監督・検査基準の検討も24年度に着手する。

会合の冒頭、吉岡幹夫技監は安全ルールの策定が「自動施工の普及促進に向けた重要な第一歩となる」と強調。建設施工の自動化・自律化による現場環境の抜本的な改善に期待を示した。

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