2024/03/25 国交省/ICT出来形管理24年度は6工種に新規適用、民間提案で堰堤工など

【建設工業新聞 3月 22日 1面記事掲載】

国土交通省はICT施工の活用促進に向け、2024年度に6工種の出来形管理に適用を広げる。構造物の基礎工に用いる鋼管ソイルセメント杭で、3D計測技術を用いた出来形管理手法を要領化。中小建設会社が活用しやすいよう、付帯道路施設工と電線共同溝工の二つの小規模工事でも新たに運用を開始する。民間団体からの提案を踏まえた検証を経てコンクリート堰堤工、のり面の落石雪害防止工、地盤改良に用いるバーチカルドレーン工(PVD)の3工種も適用対象に加える。

学識者や関係団体で構成する「ICT導入協議会」(議長・建山和由立命館大学教授)を21日に開き、24年度の技術基準類の改定案を了承した。ICTを用いた出来形管理の要領に6工種を新設し、4月に運用を始める。

構造物の基礎工ではICTで杭芯位置などの出来形計測を行う。適用種別を順次拡大しており、22年度には矢板工と既成杭工に適用。鋼管ソイルセメント杭への適用は23年度の検討期間を経て本運用に移る。

付帯道路施設工と電線共同溝工の出来形管理は、モバイル端末を用いた手法で22年度に要領案を作成し試行。23年度は付帯道路施設工でノンプリズム方式のTS(トータルステーション)を用いた手法、電線共同溝工でTSや衛星測位システム(RTK-GNSS)を用いた手法の追加を検討し、24年度から本格運用する。

民間団体から23年度に提案があった26件のうち11件について基準類改定などで対応を検討。全国建設業協会(全建)の提案を踏まえ、TLS(地上型レーザースキャナー)やUAV(無人航空機)写真を活用したコンクリート堰堤工の出来形管理要領を新設した。従来の高所作業が必要なくなり、安全性の向上や作業の効率化、出来形計測時や検査時の省人化が期待できる。

TLSを用いた落石雪害防止工の出来形管理も全建の提案を踏まえた対応。施工履歴データを用いた出来形管理は、日本建設機械施工協会(JCMA)の提案を踏まえPVDとサンドコンパクションパイル工(SCP)の2工種で検討したが、SCPは現場検証のサンプル不足で要領化を見送り継続検討となった。

このほか、のり枠工での標尺による標尺補正を加えた地上写真測量、自走式スタビライザの施工履歴データを用いた出来形管理など6提案に要領への追記などで対応した。

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