2024/03/27 斉藤鉄夫国交相/標準労務費を主要工種で優先検討、適正額確保へ違反行為例示も

【建設工業新聞 3月 27日 1面記事掲載】

斉藤鉄夫国土交通相は今国会に提出した建設業法改正案で創設する著しく低い労務費による見積もり・契約を禁止する規定の運用に向けた方向性を明らかにした。適正な労務費の基準となる「標準労務費」の検討に当たって「優先的に検討すべき主要な工種の洗い出し作業を速やかに開始する」と話し、想定する工種の個人的見解として鉄筋や型枠を例示。下請契約を念頭に禁止規定の実効性を確保するため「どのような行為が違反となる可能性があるか、ガイドラインで具体的に示すことで新たなルールの徹底をより効果的に行っていく」との考えも示した。

26日の参院予算委員会で公明党の伊藤孝江議員の質問に答えた。

業法改正では中央建設業審議会(中建審)に標準労務費の作成・勧告権限を付与する。標準労務費は原則として公共工事設計労務単価に直轄工事で使用する歩掛かりを乗じる形で設定する。国交省が工種ごとに歩掛かりの標準的な規格(仕様・条件)を抽出するための調査・分析作業を先行的に進めている。

斉藤国交相は法案成立以降、公布日から1年半以内となる禁止規定の施行期日を待つことなく、標準労務費の検討主体となる中建審のワーキンググループ(WG)を設置し「複数(工種の検討)を同時進行で行う」と表明。数多くの工種から「主要な、中心となるもの」を選んで優先的に検討することで「最もスピードアップできる形としたい」と意欲を示した。

技能者一人一人に適正な労務費を行き渡らせるため、工事現場を統括する元請の所長や工事長のマインド変革を訴える伊藤議員の意見に、斉藤国交相も同調。「まずは下請契約を結ぶ当事者が今回の法改正で創設する新たなルールを順守し適正な価格交渉を行ってもらう必要がある」と指摘した。

その上で「仮にルールを守らずに下請契約を結ぶ場合には(業法に基づく)監督処分の対象になり得ることを広く関係者に周知徹底していく」と語った。省内部の組織体制として「建設Gメン」を大幅に拡充し、実地調査と改善指導を充実させる考えも示した。

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