2025/02/27 国交省/中建審WGで建設業団体に自主的活動提案、技能者賃金の支払い確認で適正化へ
【建設工業新聞 02月 27日 1面記事掲載】
建設工事の見積もり・契約段階で適正な労務費を確保する改正建設業法の規制措置に合わせ、実際に技能者へ支払われる賃金を確保するための具体策の議論が始まった。国土交通省は労務費・賃金へのしわ寄せとなるダンピング受注などに行政指導で対応する考えを示す一方、業界内からの通報・相談や端緒情報に基づき賃金支払いの状況確認と適正化に取り組む建設業団体などの自主的な活動の展開を提案する。官民が役割を分担しながら、適正な賃金の支払いを担保する有機的な連携体制を中長期的に構築していく道筋を示す。
26日に開いた「労務費に関する基準(標準労務費)」に関する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループ(WG)で国交省が議論のたたき台を提示した。改正業法で義務規定がない労務費・賃金の支払いを契約上担保するため、国交省は建設工事標準請負契約約款(標準約款)に「コミットメント」条項を規定する方向で検討中。請負契約の調査や監督処分に当たる国や都道府県の法的権限を踏まえ、労務費については建設Gメンなどを通じ行政主体が支払い状況を確認する姿勢を示した。
一方、賃金については建設工事の契約単位ではなく技能者を雇用する会社単位で確認が必要になり、適正な支払いの担保が労務費以上に難しい。国交省は改正業法で規定する労働者の処遇確保の努力義務やダンピング規制への違反が疑われる場合に、行政主体として賃金台帳などを参照し支払い状況を確認することを視野に入れつつ、適正な賃金支払いを自主的に促進する業団体など民間主体の活動が不可欠と強調する。
WGでは賃金支払いに疑念が生じるケースを例示した。適正な賃金原資となる労務費を元請から受け取っていても、技能レベルが低い労働者だけ著しく低賃金にしていたり、賃金として分配する以外の目的に労務費を流用していたりする場合は法令違反が疑われる。業団体などには労働者の通報・相談や発注者・元請からの端緒情報を踏まえ、賃金支払いが不十分な会社を調査・指導する役割が期待されるとした。
民間主体の活動を後押しするため、国交省は賃金支払いの簡易な確認システムの構築などを進める方針だ。既にシステムを試作し、直轄工事の一部で試行している。会社ごとにバラバラな賃金台帳などの様式や記載情報に対応した効率的な確認手法を継続的に検討する。優良な会社が市場で選択される環境整備も併せて講じ、労務費や賃金の支払いで特に悪質な行為があった会社名を公表する制度の創設などを視野に入れる。
26日に開いた「労務費に関する基準(標準労務費)」に関する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループ(WG)で国交省が議論のたたき台を提示した。改正業法で義務規定がない労務費・賃金の支払いを契約上担保するため、国交省は建設工事標準請負契約約款(標準約款)に「コミットメント」条項を規定する方向で検討中。請負契約の調査や監督処分に当たる国や都道府県の法的権限を踏まえ、労務費については建設Gメンなどを通じ行政主体が支払い状況を確認する姿勢を示した。
一方、賃金については建設工事の契約単位ではなく技能者を雇用する会社単位で確認が必要になり、適正な支払いの担保が労務費以上に難しい。国交省は改正業法で規定する労働者の処遇確保の努力義務やダンピング規制への違反が疑われる場合に、行政主体として賃金台帳などを参照し支払い状況を確認することを視野に入れつつ、適正な賃金支払いを自主的に促進する業団体など民間主体の活動が不可欠と強調する。
WGでは賃金支払いに疑念が生じるケースを例示した。適正な賃金原資となる労務費を元請から受け取っていても、技能レベルが低い労働者だけ著しく低賃金にしていたり、賃金として分配する以外の目的に労務費を流用していたりする場合は法令違反が疑われる。業団体などには労働者の通報・相談や発注者・元請からの端緒情報を踏まえ、賃金支払いが不十分な会社を調査・指導する役割が期待されるとした。
民間主体の活動を後押しするため、国交省は賃金支払いの簡易な確認システムの構築などを進める方針だ。既にシステムを試作し、直轄工事の一部で試行している。会社ごとにバラバラな賃金台帳などの様式や記載情報に対応した効率的な確認手法を継続的に検討する。優良な会社が市場で選択される環境整備も併せて講じ、労務費や賃金の支払いで特に悪質な行為があった会社名を公表する制度の創設などを視野に入れる。
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