2010/1/12 10年度の地方財政計画/自治体の公共事業も大幅減/単独分15%マイナス

【建設工業新聞 1月12日 記事掲載】

 総務省がまとめた来年度の地方財政計画で、投資的経費の単独分は、前年度比15・0%減の約6・9兆円となり、10年前と比べて4割弱の規模にまで縮小した。地方単独事業の急激な減少を避けるため、別枠で新たな特例債が設けられるが、雇用対策などにも充てられるため、どの程度が公共事業に回るかは不透明な情勢。国庫補助事業も目減りするとみられ、地方自治体発注の公共事業は、さらなる縮小を余儀なくされる方向だ。経営の厳しさが増す地域の建設業への影響も必至とみられる。


 地方単独事業は、地方自治体の財政状況の悪化などを背景に年々目減りしてきた=グラフ参照。地方財政計画における投資的経費の単独分を見ると、来年度の見込み額は約6兆8700億円で、前年度よりも約1・2兆円の大幅減となる。「コンクリートから人へ」との政策理念を掲げて公共事業の削減を図る鳩山政権の方針に沿った格好だ。


 地方単独事業への配慮から、「地域活性化・雇用等臨時特例債(仮称)」(9850億円)が設けられるものの、その全額が投資的経費に回るわけではない。地方財政計画の国庫補助事業分については、政府内で精査する作業が続いている状況だが、政府予算案で公共事業関係費が前年度比18・3%減の5兆7731億円にまで落ち込む中では、大幅削減が避けられそうにない。来年度の地方債計画での計画額を見ると、補助事業に充当される一般公共事業が同17・6%減の1兆4985億円、一般単独事業が同14・1%減の2兆3251億円に縮小する。公営住宅建設事業や災害復旧事業、教育・福祉施設等整備事業も、軒並み2けたのマイナスとなる。


 各自治体は、政府予算案や地方財政計画を踏まえて、来年度予算案の編成に向けた詰めの作業を進めている。ある県では、精査中の段階としつつも、公共事業費の削減幅が見込みよりも大きかったため、「公共事業費をさらに減らさないといけない」(財政部局担当者)とみている。政権交代後の概算要求で公共事業の大幅削減の方針が示されていたとはいえ、地域の産業を抱える自治体にとっては、対応に悩むケースも出てきそうだ。

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