2010/3/5 土工協・中村満義会長会見/公共事業のあり方、議論深化は変革チャンス

【建設工業新聞 3月5日 記事掲載】

 日本土木工業協会(土工協)の中村満義会長は、4日の理事会後の記者会見で、年度内成立が確定した10年度予算案の公共事業費について、「予算は削減されたが、どこで何をやるのかしっかりと議論し、予算の使い道が明確になれば、公共事業の適正な姿も見えてくる」と述べ、限られた予算の使途が重要だとの考えを強調した。その上で、予算や事業に関する議論が深まることは「大きなチャンスであり、協会活動にとっても新展開を考える契機になる」と議論の活発化に期待を示した。


 公共事業予算の大幅削減について、竹中康一副会長は「交付金がどう使われるのか興味を持っている。地元向けの工事が増えれば、われわれにとっては前年度比18%減以上の影響があるかもしれない」、村重芳雄副会長は「10年度予算の事業が実際に動くのは6月ころになるだろう。景気対策として効果的かどうか見極める必要がある。業界の不安が取り越し苦労であってほしい」と語った。


 ハイチとチリで巨大地震が発生し、大きな被害が出たことについて、中村会長は「(日本にも大きな災害が)来るかもしれないという心構えが必要」と述べ、両国の災害を教訓に防災対策に万全を期するべきだとの考えを示した。村重副会長は「(予算案では)防災対策が脇に置かれているような状態」と懸念を表明。大田弘副会長は「日本は長い時間をかけて安全な国土を造り上げてきた。長期的な視点が欠けると、災害が起きてからの対応になる」と警鐘を鳴らした。


 このほか中村会長はリニア中央新幹線について「建設業界でもニーズに沿って技術開発などが進むのではないか」と整備事業への期待を示した。

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