2010/3/30 ゼネコン/経営計画見直し相次ぐ/想定以上の市場縮小、目標数値を下方修正

【建設工業新聞 3月30日 記事掲載】

 想定を上回る市場縮小を背景に、中期経営計画を見直すゼネコンが相次いでいる。大林組は08年度に立てた計画の最終年度となる12年度の経常利益(連結)を、当初見込みの800億円から560億円へと下方修正。西松建設も昨年5月に公表した09年度からの3カ年計画で設定した受注高・売上高の目標をそれぞれ、1000億円近く下げ、経常利益の目標もほぼ半分にした。10年度の国の公共事業予算が前年度比18%減となり、民需も依然低迷する中、建設市場の急回復は期待できず、数値目標を見直す各社の動きは今後も続きそうだ。


 大林組は、12年度の総売上高も当初目標の1兆8500億円を1兆5500億円に下げたが、引き続き技術力、企画提案力、生産性向上力を高め、成長が期待できる環境関連やリニューアル事業への取り組みを一段と強化して収益確保を目指す。一連の不祥事を経て「新生西松」への取り組みを歩み始めた西松建設。昨年5月に策定した中期経営計画(09~11年度)では、11年度の受注高を3400億円、売上高を3715億円と見込んでいたが、想定以上に縮小する建設市場と厳しい経営環境を踏まえてそれぞれ2460億円、2740億円に下げ、経常利益の目標も62億円から30億円に改めた。


 4月1日に就任する飯塚恒生新社長の下で新たな体制をスタートさせる東急建設も、08年度から3カ年で取り組んできた中期経営計画を改定した。東急沿線大型プロジェクトの受注や工事利益率の改善など一定の成果はあったものの、市場の急速な回復が見込めないことから、基本的な戦略は変えずに、計画期間を10年度までの3カ年から、11年度までの4カ年に延長する形で見直した。数値目標についても、10年度に連結営業利益84億円としていたものを、11年度に40億円以上へと下方修正した。


 ハザマは、08年度から進めてきた中期経営計画の終了を待たずに、新たな3カ年計画(10~12年度)を策定。事業基盤の再構築を目指す。不動テトラも08年度から3カ年の計画を1年前倒しで終了。想定される市場環境に効果的に対応できるよう、10年度から2カ年の計画に改め、利益率を重視した経営にシフトする考えを示している。

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