2010/4/2 新年度スタート、各社で入社式/業界に新風吹き込め/社会基盤の建設担う仕事

【建設工業新聞 4月2日 記事掲載】

 新年度がスタートした1日、建設関連各社でも一斉に入社式が行われた。市場の先行きには不透明感が増し、業績の悪化傾向も強まる中、各社のトップからは「新人の枠にとらわれず、当社に新しい『風』を吹き込んでほしい」(山内隆司大成建設社長)、「常に夢を持ち、その実現に向けてチャレンジし続けてもらいたい」(宮本洋一清水建設社長)、「皆さんの小さな一歩が当社の現在と未来を支え、社会を支える」(中村満義鹿島社長)などと、苦境に立つ建設業界に自らの意志で飛び込んだ新入社員の活躍に期待するメッセージが目立った。


 公共事業の削減に加え、民間設備投資も低調に推移する環境下で、各社のトップからは、社員の不安を払しょくしてモチベーションを高めてもらおうとする言葉が相次いだ。海外工事関連の損失が膨らみ、前期決算で上場以来初の営業赤字を見込む大林組。白石達社長は「今回の損失は一過性のもので、国内市場が縮小するなか、徹底したリスク管理と経営資源の選択と集中で、今後も海外展開を継続する」との考えを示した。創業から200年を超える歴史を持つ清水建設の宮本社長は「幾度もこうした難局を乗り越え、成長を遂げてきた」と述べ、「当社には夢を実現できる舞台があり、人間として成長できる環境も十分整っている」と強調した。


 急激に変化する社会・経済情勢を踏まえ、建設業の本質をあらためて説くトップも多かった。鹿島の中村社長は「建設業は人々が安全・安心に暮らせる国土整備はもちろん、すべての産業基盤と生活基盤の建設を担っている」と指摘するとともに、「社内のあらゆる部署の知恵と力を結集し、お客さまとも一体となって一つのものを造り上げる大きな仕事だ」と語った。


 竹中工務店の竹中統一社長は、最良の建物を創出する上で「安全・品質の確保、環境保全への取り組みが信頼を獲得するための原点だ」と力説した。昨年から品質・生産性向上に関する活動を強化している大成建設の山内社長は「誠実に、偽りなく、品質の良いものをお客さまや社会に提供し、信用を積み重ねていくこと」を建設業の「王道」と説いた。

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