2010/4/21 中建審、4月22日開催/経審見直しや標準契約約款改正を諮問/前原誠司国交相


【建設工業新聞 4月21日 記事掲載】

  前原誠司国土交通相は20日の閣議後の記者会見で、入札契約制度の見直しに向けて中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)を22日に開催すると発表した。中建審の開催は07年9月以来2年7カ月ぶり。入札に参加する建設会社の経営実態をより公正に評価する観点から、公共工事を受注する建設業者に義務付けられている経営事項審査(経審)制度の見直しとともに、下請企業対策として建設工事標準請負契約約款の改正を諮問する。中建審は3回程度の審議を経て、今夏にも報告を取りまとめる予定だ。
  前原国交相は、3月16日に打ち出した企業の経営評価と下請企業対策を柱とした入札契約制度改善策の具体的な結論を得るために中建審の開催を決めた。経審の改正は、建設業法で中建審での審議が義務付けられている。建設工事標準請負契約約款の改正も同様に、建設業法で中建審が作成し、地方公共団体などに勧告すると規定されている。
  会見で前原国交相は、経審の改正については、「ペーパーカンパニーの高得点防止や、企業実態のより公正な評価のために審査基準を見直す」との方針を表明した。これを受け、中建審は審査現場での監督強化策や、工事の丸投げによる完成工事高のかさ上げなどを防止する対策を議論。ペーパーカンパニーの虚偽申請をチェックするための経審データ異常値検出システムの再検証も行う。さらに、会社更生法や民事再生法の適用を受け身軽になった企業が経審で高得点を得ているとの指摘もあるため、再生企業を経審でどう取り扱うべきかも検討する。さらに市場による企業評価の活用を促進するため、建設業者の契約履行の確実性を入札前に金融機関が審査・保証する入札ボンド制度の導入対象の拡大についても協議する。
  前原国交相は、下請企業対策に関しては、「元請下請関係をはじめとして、契約の対等化・明確化を促進するために建設工事の契約のひな形である標準契約約款を改正する」との考えを示した。中建審では、請負代金変更に関する甲乙協議の妥当性の検証や、下請企業への工事代金未払いなどのしわ寄せを防ぐために信託や支払いボンドの仕組みを活用した下請代金保全策の検討を進めてもらう考えだ。

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