2010/05/10 土工協/10年度意見交換会、5月17日スタート/民間技術活用など5項目提案


【建設工業新聞 5月10日 記事掲載】

  日本土木工業協会(土工協、中村満義会長)と国土交通省の各地方整備局などの公共発注機関が参加する10年度の「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が、17日の関西地区を皮切りに全国9地区で開催される。政権交代で国の公共事業予算が大幅に削減され、建設業の経営環境の厳しさが増す中、土工協側は、工事の品質と適正な利益を確保するために総合評価方式の入札の改善や、民間の技術力を生かす発注方式の導入などを発注者側に要望。2段階選抜方式の積極的な試行や、技術開発と工事の一体調達の推進などを求める考えだ。関東など4地区では、鉄道建設・運輸施設整備支援機構も新たに参加。これにより主要発注者がそろうことになる。
  意見交換のテーマには、入札前の対策として▽総合評価方式の改善▽民間の技術力を生かした発注方式の積極的な導入拡大▽実効性のある低価格入札防止対策の導入・実施-の3項目、入札後の対策としては「建設現場における生産性向上と適正利益の確保」の1項目が挙げられている。
  総合評価方式について土工協側は、優れた提案を行った企業が適正な価格で受注できる環境を整えることが必要との観点から、技術評価点で有意な差がつく評価項目の設定や、評価方法の改善を求める。過剰な技術提案が助長される「技術ダンピング(オーバースペック)問題」を防ぐため、要求水準の範囲を定量的に明確化することも要望する。評価の透明性を向上させる狙いで、技術提案の採否や加点評価の有無の通知も要望事項に掲げた。国交省が総合評価方式の改善へ向けた取り組みを加速させていることを踏まえ、地方自治体などにも積極的な対応を求める。
  今回の意見交換会で土工協側は、企業の技術力の発展や技術開発へのインセンティブをもたらす公共調達が極めて少ないことも問題点として指摘。企業間の技術競争や新たな技術開発を促すような多様な発注方式の導入拡大を求める。技術評価によって早い段階から入札参加業者を絞り込む「2段階選抜方式」の積極的な試行や、技術開発・工事一体型方式の発注拡大、新技術・新工法に関する技術情報の活用などをその具体例として挙げる。

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