2010/5/24 事業仕分けで「廃止」判定/監理技術者資格証の交付/講習の受講義務も

【建設工業新聞 5月24日 記事掲載】

 公益法人などを対象にした政府の行政刷新会議による事業仕分け第2弾後半戦2日目の21日、国土交通省が所管する建設業技術者センターと全国建設研修センターの事業の仕分け作業が行われ、技術者センターが実施する監理技術者資格証の交付を「廃止」、研修センターが行っている監理技術者講習についても受講義務付けを「廃止」するとの判定が下された。監理技術者の資格証交付や講習は建設業法に基づく事業で、仕分け結果を受けて国交省は制度の大幅見直しを迫られそうだ。

 現在、公共工事など建設業法で定める工事の現場に配置が義務付けられている専任の監理技術者は、技術者センターが交付する監理技術者資格証と、研修センターなどが交付する講習修了証の2枚のカードの取得・所持が必要とされている。同日の仕分けで技術者センター側は、本人ではない技術者の配置や名義貸しなどの不正行為が起こりやすく、資格証を携帯させることで本人確認が容易になり、不良不適格業者の排除や施工品質の確保などに寄与していると事業の意義を説明したが、仕分け人からは「資格証を交付しなくても現場で本人を確認すれば分かる。携帯を義務付ける必要もない。そもそも資格証自体が必要か」「入札・契約時に受注者が提出する配置予定監理技術者情報やコリンズ情報などを活用すればよい」などと批判が続出し、「廃止」と判定された。

 研修センターが行っている5年に1度の監理技術者講習の義務付けについても、仕分け人からはその効果に疑問の声が上がった。同様の講習業務を行っている民間会社などがあることも考慮。受講は任意とし、義務化は「廃止」すべきだとした。センターの建て替え費用として積み立てている約150億円の内部留保金についても「机やいすがあればできる話であり、研修センターを維持する必要があるのか」「留保金は企業の受講手数料の引き下げに使うべきだ」などの意見が出た。

 技術者センターは98年度に事業を開始。ここ10年間の資格者証の平均交付数は約13万6000件だが、民間工事でも携帯を義務化したことから、09年度の交付件数は16万3000件と年々増えている。工事の品質確保を目的に制度化された仕組みだけに、見直しは業界に大きな影響を及ぼしそうだ。

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