2010/06/25 中建審/請負代金変更に調停人、約款改正で国交省提案/10年度にモデル事業

【建設工業新聞 6月25日 記事掲載】

 中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)は24日、東京都内で総会を開き、建設工事標準請負契約約款と経営事項審査(経審)の審査基準の見直しについて協議した。約款については、請負代金の変更時に受発注者間の協議段階から調停人を活用する仕組みを導入することが提案された。経審の見直しでは建設投資の減少を踏まえた評点テーブル(X1)の上方修正などが議論された。7月下旬の第三回会合で改正案などをまとめる。
 
 
 同日の総会では、前回の会合で出された意見を踏まえ、国交省が経審の審査基準と約款の見直しに向けた方向性を示した。約款の見直しでは、請負代金の変更について、トラブルを未然に防ぎ、迅速な解決を図るという観点から発注者と受注者の当事者間(甲乙協議)の協議の段階から公正・中立な調停人を入れ、円滑な協議を行う仕組みを構築。公共工事と同様に、民間工事と下請工事の約款にもこうした規定を追加するよう提案した。今後の運用イメージとして本年度にモデル事業を実施。来年度に調停人の選定や権限の基準を策定した上で、約款を改正して協議段階から調停人の活用を原則化するとの方向性も示した。
 
 
 現場代理人の常駐義務に関しては、現行通りの常駐義務化の項目に加え、常駐の義務化を外す場合の項目を追加。義務化を外す場合は合計金額(2500万円未満)や工事件数の上限、現場代理人との連絡体制の確保などを条件に緩和する方向で議論した。請負者に責任のない工期延長に伴う増加費用の発注者負担も協議し、発注者に帰責事由がある場合の工期延長については、発注者が請負代金を変更することや受注者の損害に対する費用を負担するとの規定を設けるとした。
 
 
 契約当事者間の対等性を確保するための注文者(甲)と請負者(乙)の呼称に関しても公共、民間の約款ともに「発注者」「受注者」と表記し、下請約款は「元請負人」「下請負人」とするよう提案した。反社会的勢力の排除条項については「発注者は、受注者が暴力団員またはこれらに準ずる者と認められるときは契約が解除できる」とする規定を創設するとした。民間約款の見直しでは既に民間で広く使われている旧四会約款の内容と整合性を図るとした。一方で下請と下請間での標準約款の整備の検討の必要性も指摘した。

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