2010/09/13 国交省検討委/下請代金債権保全策で中間まとめ/支払ボンドと信託の両方式提示

【建設工業新聞 9月 13日 記事掲載】

 国土交通省の有識者会議「新たな下請代金債権保全策検討委員会」は10日に開いた会合で、建設工事での新たな下請代金債権保全策のスキームを示した中間とりまとめを作成した。これまでの2回の会合での議論を踏まえ、元請企業が倒産した場合の下請企業への支払いを金融機関が保証する「支払いボンド方式」と、元請が工事請負代金債権を銀行などに信託し、倒産時に下請への支払いに充てる「信託方式」を有効な方策と結論付け、導入時の制度スキームを提示。両方式とも11年度の早期に公共工事に導入できるよう、関係業界などとの調整を求めた。
 
 
 中間まとめでは、元請の倒産に伴う連鎖倒産の抑止や下請労働者の賃金確保のための有効な仕組みとして、支払いボンドと信託の両方式を挙げ、制度導入時の保全対象は1次下請までとした。支払いボンドのスキームは、公共工事を受注した元請が保証機関に対して保証料を支払って保証証書(支払いボンド)を発行してもらい、証書をあらかじめ発注者に提出。保証機関は元請倒産時に下請への未払い債権額の支払いを保証する。保証料は元請が支払う。
 
 
 保証の引受先については、米国の専業・特化型の保証機関を参考にしながら、ふさわしい金融機関を検討するよう求めた。さらに、保証機関の円滑な保証引き受けと、保証料の低減のために公的な再保証システムの設置が必要だと指摘。制度立ち上げ段階で保証機関の支払いリスクを軽減するため、大規模倒産時の保証金支払いにも耐えられる財政措置の創設も求めた。付保割合などの保証上限も設定する。
 
 
 信託方式のスキームは、元請が工事請負代金債権を信託銀行に信託し、信託銀行が下請代金債務を引き受ける「信託銀行活用型」と、元請が下請のため自ら受託者となって工事請負代金債権を分別管理する「自己信託型」の二つ。通常時は元請(自己信託型は元請が分別管理する固有財産から)が下請代金を支払い、元請倒産時は信託銀行(同)が未払い債権額を支払う。保全割合は平均的な下請企業への未払い債務割合や下請比率を勘案し、工事請負代金の一定割合を限度とする。信託方式は導入準備のために10年度中に少数のモデル事業を試行し、課題の検証を行いながら制度の具体化を図るべきだと提案している。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る