2010/11/11 10年度上期の建設受注、最低の20・3兆円/民間の大型建築低調/国交省

【建設工業新聞 11月 11日 記事掲載】

 国土交通省が10日発表した建設工事受注動態統計によると、10年度上期(4~9月)の建設業者の工事受注高は前年同期比0・7%減の20兆3398億円にとどまり、00年度の調査開始以来、最低となった。下期には政府の追加経済対策で公共投資が底上げされる可能性もあるが、景気の先行きは依然不透明で、民間投資の本格復調は期待薄。通年で最低記録となった09年度を下回る水準で推移しており、今後の市場動向次第では前年度よりさらに落ち込むことになりそうだ。
 
 
 4~9月の受注高の内訳は、元請14兆0281億円(前年同期比2・4%減)、下請6兆3116億円(3・5%増)。下請受注は増加したものの、前年同期に次ぐ低い数値で厳しい環境に変わりはない。元請受注高のうち、公共機関発注分は4兆3488億円(9・2%減)、民間発注分は9兆6792億円(1・0%増)。工種別では土木4兆2974億円(10・1%減)、建築・建築設備8兆5411億円(2・3%増)、機械装置等1兆1895億円(5・1%減)となっており、民間の建築分野で需要にやや改善の兆しが見えている。
 
 
 民間建築の改善を受け、第2四半期(7~9月)の受注高は前年同期比1・2%増となり、10四半期ぶりにプラスに転じた。しかし、1件5億円以上の民間建築工事は14・4%減と大幅なマイナスで、民間企業が大型の設備投資を手控え、工事が小口化する傾向が顕著になっている。民間建築の現状について、国交省は「プラス基調への説得力ある材料は見当たらない」(総合政策局)としている。
 
 
 元請受注高のうち、公共機関発注分は、全体と土木が調査開始以来の最低水準となった。前年同期に公共工事の前倒し発注など景気対策の効果が大きかった分、落ち込み幅も大きくなっている。発注者別(11分野)で見ると、建築は情報通信業と不動産業の2分野、土木では農林漁業と製造業、運輸・郵便業、不動産業などからの受注額が前年同期を上回った。ただ、大規模案件など一過性の要因の影響が強く、全体的には投資の抑制傾向は変わらない状況だ。

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