2010/12/27 国交省/一般土木など等級区分見直しへ/「繰り上がり」、全等級での実施検討

【建設工業新聞 12月 27日 記事掲載】

 国土交通省は、直轄工事の発注標準の見直しに向けた対応案をまとめた。対応案では「一般土木」「アスファルト舗装(As舗装)」「鋼橋上部」の3工種の等級区分見直しや、下位等級から上位等級への参加機会を拡大する「繰り上がり」の全等級での実施などを検討することが盛り込まれた。国交省は来年1月末をめどに11・12年度同省直轄工事への競争参加資格審査に活用するデータ収集の結果などを参考に方向性を固める考えだ。
 
 
 国交省は対応案を24日に開かれた「国土交通省直轄事業における公共事業の品質確保の促進に関する懇談会」(品確懇)の企業評価検討部会(部会長・高野伸栄北大大学院准教授)に提示、了承された。発注標準は、過度の競争を避けることなどを目的に各企業の能力に応じた等級区分ごとに、契約できる工事金額の規模を決めておく仕組みだが、最近は価格競争から総合評価方式への移行や入札ボンドの普及などで役割が縮小している。
 
 
 今回の対応案は、工種や等級区分の新設・統合や工事の難易度に応じた新たな等級設定などが柱。等級の統合・新設については一般土木、As舗装、鋼橋上部、造園、建築、電気設備、暖冷房設備の等級区分ごとの企業の経営力や工事特性を分析。その結果、発注量と等級区分のバランスが取れていなかった一般土木、As舗装、鋼橋上部で等級区分を見直し、一般土木は必要に応じてD等級をC等級に統合することを検討するとした。As舗装と鋼橋上部はこれらの工種で対応できる補修工事の発注を含め等級の見直しを検討する。
 
 
 等級区分(等級値)の設定に当たっては、今後の工事の発注量、内容(難易度など)、これらを施工するのに必要な経営力・技術力、十分な競争環境を確保できる企業数などを勘案し、総合点数で区分する。工事の難易度により同一等級では十分な競争環境を確保できない場合は複数等級企業を対象とした入札参加要件を設定するよう配慮する。企業の技術力向上を促進するため、「段階的昇級」も検討。第1段階として、技術評価点の高い下位等級企業を中心に上位等級工事への参加機会を拡大する「繰り上がり」を実施する。現行はC等級からB等級への繰り上がりができるが、これを全等級で認める方向で検討する。これにより各企業が技術力を向上させ、第2段階で上位等級に昇格する仕組みを提示した。

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