2012/09/20 国交省/中小企業金融支援策1年延長へ調整/資金繰り悪化を懸念

【建設工業新聞 9月 20日 記事掲載】

 国土交通省は、国が中小企業を対象に時限措置として実施している金融支援策が13年3月末で期限切れを迎えることから、同省が所管する中小企業向け資金繰り支援事業を延長する方向で検討に入った。対象は、下請業者が持つ元請向け債権の支払い保証を支援する「下請債権保全支援事業」と、公共工事などの請負代金債権を担保に低利融資を受けられる「地域建設業経営強化融資制度」の2事業。14年3月末まで1年間の延長を求め、財務省と調整に入った。
 
 
 景気の低迷が長引く中で経営環境が悪化し、多くの中小企業が資金繰りに苦しんでいる。政府はこうした中小企業を救済する目的で、金融機関からの借入金の返済を猶予する「中小企業金融円滑化法」をはじめとする金融支援策を期限付きの特例措置として講じてきた。国交省所管の下請債権保全支援事業と地域建設業経営強化融資制度もその一環で、中小企業金融円滑化法などとともに、いずれも来年3月末で打ち切られることになっている。現時点で、中小企業金融円滑化法の延長措置が講じられる予定はなく、国交省は公共投資の縮小などを背景に受注が減少し、資金繰りが悪化する地域の中小建設業が増える恐れがあることを考慮。地域の生活基盤を下支える中小建設業を確保する上でも金融支援策の継続が必要と判断した。
 
 
 下請債権保全支援事業は、下請が元請に対して持つ売掛債権について、ファクタリング(売掛債権買い取り)会社が支払い保証をする際に国が保証料を助成する。元請が倒産しても下請はファクタリング会社から債権を回収できる。地域建設業経営強化融資制度は、公共工事などを受注した建設業者がその請負代金債権を担保に低利の転貸融資を受けられる仕組み。保証事業会社の金融保証によって未完成部分の施工に要する資金の融資を受けやすくする。


 国交省によると、7月時点の下請債権保全事業の実績は利用企業452社(累計9223社)、保証債権1009件(累計2万1950件)、保証総額58億4700万円(1128億円)。地域建設業経営強化融資制度の実績は融資件数200件(累計1万0385件)、融資金額33億円(累計2432億円)。特に今年に入って利用する企業が増えている。
 

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