2012/12/05 全建設技能労働者にIDカードを付与する方向
技能労働者の技能の『見える化』ワーキンググループが第1回会合を開催
国土交通省は技能労働者の技能の『見える化』を目的としたワーキンググループの第1回会合を
12月5日開催した。
冒頭、国土交通省建設市場整備の榎本健太郎課長より「建設業界は若い人にとって魅力ある姿に
映っていない。入職者が少なく高齢化が進んでおり将来が心配だ。今迄踏み込んだことのない世界にまで
踏み込むことによって現状を変えていきたい。本年度は大枠を決定したい。」と挨拶があり、議長として
東京大学生産技術研究所の野城智也教授が選任された。
議論の中でゼネコン系・専門工事業系の委員から、
「大手ゼネコンが利用(※)している就労履歴カードとの関係は?」との問いがあり、国交省から、
「今回のデータベースは、既に一部ゼネコンで稼働している就労履歴管理データを、ゼネコン内だけで
なく横串でつなぐものとしたい。」と返答があった。
(※就労履歴登録機構設立時の加入企業: 大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、
三井住友建設、大和ハウス工業、戸田建設、西松建設の9社 )
また海外の動向などを調査している芝浦工業大学の蟹澤教授から、
「ドイツのマイスター、アメリカのユニオンの様なイメージにしたい。そういった国々では既にID化は
当たり前となっている。日本に先行している韓国では当初ID化が定着しなかったが、初期教育の登録と
して行い上手くいっているようだ。又、現状の労災保険で採用が多い有期一括事業も、ID化により実数
でカウントすることが可能となれば、会社側にとっても導入のメリットが出てくる可能性がある。」と
意見があった。
これに対してゼネコン系の委員から、
「入力の精度や信用度が低ければ利用価値が低くなってしまう。よって元請けがカードリーダー等を利用
して確実に把握し、責任を持って入力すべきだと思う。」と指摘があった。これに対して蟹澤教授から、
「韓国では今、殆どの現場でカードリーダー方式が稼働している。韓国の状況を見ると、やる気になれば
3年くらいで普及可能だと思う。韓国ではカードがなければ現場に入れない、技能者ではないといった
扱いをしており、労務管理の方法としてIDカード方式は定着している。」と報告があった。
国交省から、「既に稼働しているゼネコンのデータベースを使わせて欲しい。誰が入力するかは確かに
重要だ。」と返答があり、専門工事業系の委員から、「既に稼働しているが、やれと言われればすぐに
実行できると思う。それ程難しいことではない。」との意見があった。
11月から始まった社会保険の加入状況の確認や個人情報の保護、登録情報の利用(閲覧)を視野に
入れながら、今後3回の会合で全技能労働者にIDカードを付与する方向で制度設計され、来年の2月を
目途に中間とりまとめが行われる予定だ。