2014/1/16 国交省/五輪後見据え担い手確保策検討/建設産業活性化会議が初会合

【建設工業新聞 1月 16日 1面記事掲載】

国土交通省が、2020年東京五輪後も見据えて建設産業の担い手確保に向けた検討を始めた。民間の有識者らを交えた「建設産業活性化会議」の初会合を14日に開催。震災復興や五輪開催である程度の建設需要が想定される20年までを「短期」、それ以降を「中長期」として担い手の確保・育成による活性化策を今夏までにまとめる。

会議は、高木毅副大臣が座長を務め、省内の幹部や外部の有識者、業界の代表者、教育関係者、オブザーバーの厚生労働省で構成する。初会合で太田昭宏国交相は「現場で働く人がいることが日本の底力になる」と強調。担い手不足が指摘される業界に若者が入り、業界を一度離れた人たちも戻ってこられるよう、就労環境の整備と魅力を発信する施策が必要だと訴えた。

建設産業は、長く続いた建設投資の減少や受注競争の激化などで疲弊。現場の技能者などの処遇悪化と若年入職者の減少という課題に直面。このままでは、産業の担い手がいなくなり、社会資本の整備・維持管理や地域の災害対応などに支障を来しかねないとの懸念も出ている。太田国交相は「(業界が)地域を守るという誇りを見える形にすることが不可欠だ」とも強調した。

高木副大臣も「建設産業が衰退すれば地域が維持できない」と述べ、対策をまとめる決意を表明。特定の課題に対応したワーキングも設け、精力的に議論を進めていく方針を示した。副座長を務める土井亨政務官は「震災復興事業が終わると仕事がまた減るのではないかと不安を抱き、雇用に踏み切れない経営者もいる」と指摘。議論の成果を地域の活性化につなげたいとの考えを示した。

各委員からは、「各種データを共有して将来展望を議論すべきだ」「20代の若者が希望を持てるよう、彼らの一生を預かる業界であるべきだ。その証しとなるキャリアパスを示すことも重要だ」「女性が就職したくなるようにすることが、結果として男性にも魅力がある業界になる」など、それぞれの視点での意見表明が行われた。今月末に次回会合を開催。テーマを設けて適任の委員に意見を表明してもらい、それをベースに議論する。

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