2014/5/29 国交省/女性活用モデル工事実施へ/14年度に10件程度、造園や市街地土木で

【建設工業新聞 5月 26日 1面記事掲載】

国土交通省は、直轄工事を対象に女性技術者の登用を促すモデル工事を今夏から実施する。造園工事や、環境・騒音・安全の対外調整が必要な市街地で行われる土木工事などは女性の感性や生活者としての視点を生かしやすいとみて、女性技術者の配置を条件にした工事を試行する考え。建設業界団体と今夏をめどに作る「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」(仮称)の具体策の一つとなる。

23日の衆院国土交通委員会の審議で太田昭宏国交相が明らかにした。モデル工事は本年度、各地方整備局ごとに1、2件、計10件程度行われる見通しだ。太田国交相は答弁で、「ドボジョ(女性土木技術者)が現場にいることで現場の雰囲気が変わるような良い状況が起きている」と指摘。建設業で女性の活用を促進することが円滑な現場運営にも役立つ面があるとして、同省がモデル工事を試行し、その効果を検証していく考えを示した。

モデル工事では、入札公告時に女性技術者を生かす分野を明示する。配置する女性技術者を、監理・主任技術者のように専任配置が必要な技術者にするか、担当技術者レベルとするかなどは今後詰める。総合評価方式の入札で女性活用を加点要素とすることは想定していないという。

建設業の担い手確保では、外国人の活用に期待する声もあるが、太田国交相は「まずは国内人材」として、高齢者の活用や建設業界を一度離れた人の復帰、若者の入職促進などに優先して取り組む方針を表明。女性活用も国内人材活用策の一環として「推進していきたい」と強調した。

国交省と業界で作る行動計画では、女性の採用拡大と登用促進、技術・技能の向上、現場の労働環境整備などに向けた具体策を提示する予定だ。現場の環境整備では、女性の使用を考慮したトイレの仕様づくりに向けた検討なども始まっている。

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