2014/6/18 国交省/監理技術者・主任技術者に若手を積極登用/実績緩和のモデル工事実施へ

【建設工業新聞 6月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は、直轄工事の入札参加時に、監理技術者や主任技術者の過去の実績を問わないモデル工事を実施する。優秀な若手技術者が早期に活躍できる環境を整えるのが狙い。建設産業活性化会議(座長・高木毅副大臣)が月内に決める中間取りまとめの具体策として盛り込む。

モデル工事は、WTO政府調達協定の適用対象に該当せず、技術的な難易度が比較的低い案件で実施する方針だ。関東地方整備局が、工事成績や表彰などの少ない企業の参入を促す目的で「技術提案チャレンジ型総合評価方式」と呼ぶ方法を試行しており、同様の手法を想定。複数の整備局が実施に向けた準備を進めている。工事を発注する際、例えばトンネル工事の場合、通常では「延長○メートル」「外径○メートル」「土かぶり○メートル」といった具体的な数値での施工実績を監理技術者や主任技術者に求めている。モデル工事では、同じ整備局管内での施工実績だけを求めるなど、要件を大幅に緩和することを考えている。

企業と技術者個人の実績にも差を付ける。例えば、企業には「築堤」の施工実績を要件とする一方、技術者には「土工の切り盛り」といった最小限の実績だけを求めるなど、「できるだけ若手が参加しやすいようにする」(官房技術調査課)という。関東整備局が13年度から取り組んでいるチャレンジ型総合評価方式は、技術力のある企業が競争に参加し、受注機会を確保できるようにするのが眼目。実績の評価ウエートを低くする一方、技術提案を重視する。

国交省は、同様の方式の試行を他の整備局にも広げることが、若手技術者の登用拡大にもつながるとみている。業界側には、発注段階で設定される監理技術者などの実績要件が足かせとなり、若手技術者の登用がなかなか進まないという指摘が少なくない。国交省は別途、若手技術者の配置を条件とするモデル工事も実施しており、さまざまな手法の試行を通じて、若手技術者の育成を図る考えだ。

先に成立した改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づき、今後、施工実績や工事成績評定を発注者間で共有する方向で検討が進めば、自治体工事の実績を使って直轄工事に参加するなど、若手がより参加しやすい条件整備が進む可能性もある。このほか国交省は、一定の現場経験を経る必要がある技術検定試験の受検資格を早期に付与できるようにする検討も進めていく方針だ。

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