2014/7/3 厚労省/優良企業の優遇制度新設へ/「安全」「健康」の取り組み、入札時に評価

【建設工業新聞 7月 3日 2面記事掲載】

厚生労働省は2日、建設業を含む企業の安全衛生や健康確保の取り組みを評価し、優良企業の公表、さらに優遇措置を新設するため制度設計に着手した。総合評価方式の入札で優良企業に加点したり、ハローワークに求人票を出す際には優良企業であることを表示できたりする仕組みなどが優遇措置の候補になる見通しで、実現の可能性を含め検討を進める。優良企業に付与する標章(優良マーク)も決める。15年度早々に新制度をスタートさせたい考えだ。

新制度は従業員の安全と健康を重視する企業が社会的に評価されるようにするのが狙い。労働安全衛生法に基づくルールや罰則だけではなく、優れた取り組みに対するインセンティブを明確にすることで、安全衛生に対する企業の意欲を高め、体制の強化を促す。

制度創設に向けて同省は「安全衛生に関する優良企業を評価・公表する仕組みに関する検討会」(座長・高巖麗澤大大学院教授)を設置し、2日に初会合を開いた。今後3回会合を開き、今秋に検討結果を報告書にまとめる。国の評価手法や優良企業に付与する優良マークのデザインや使用範囲、優良企業に対する優遇措置などを詰める。

評価手法については、全産業共通の項目と産業別の項目を設ける方向。労働災害の発生状況に加え、疾病やメンタルヘルス対策、長時間労働の発生状況などが評価のポイントとして想定されている。建設業では建設現場に潜む危険の防止策などが対象になりそうだ。

新制度をめぐっては昨年度の労働政策審議会安全衛生分科会で大枠の議論を実施。本年度から検討会を設け、専門家や産業界、労働団体のメンバーで制度の詳細を検討することにしていた。昨年度の議論では企業のインセンティブとして、国や地方自治体の工事・業務を優良企業に優先的に発注する入札契約制度上の施策や、ハローワークの求人票への優良認定マーク記載、税制優遇などを求める意見が出ていた。同省が昨年度の分科会に示した制度のイメージによると、企業は労災や疾病の発生状況、安全衛生への取り組み状況などを自己診断し、5段階評価で最も高い企業が厚労省に認定を申請。認定されると認定マークの使用許可や優遇措置が与えられるとしている。

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