2014/7/18 建専連/社会保険加入、2次以下・社員外に課題/会員・社員との格差大きく

【建設工業新聞 7月 18日 1面記事掲載】

建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)が会員企業などを対象に行った社会保険加入状況の実態調査結果がまとまった。加入の費用負担が最も重い厚生年金に加入している人の割合は全体で88・5%。会員企業の社員に限ると96・5%に上ったが、常用や準直用といった形態で会員企業の仕事に従事する技能工など「社員外」の加入率は44・7%とほぼ半分にとどまった。会員の下請企業でも社員と社員外で加入率に同様の格差が生じている。

調査は13年度に続き2回目。傘下31専門工事業団体に協力を求め、4567社分の回答を集計した。対象とする技能労働者を「賃金台帳に記載された人」に限定したのが今回の調査の特色。13年度調査に比べ回答企業数が2・2倍になり、特に下請企業の回答が増えた影響で厚生年金の全体加入率は2・0ポイント下がったが、建専連はより実態を反映した調査結果になったとみている。

厚生年金を例に加入率を見ると、会員企業の社員は前回調査より3・0ポイント上昇。社員外も率は4割台にとどまったが21・4ポイントの大幅な上昇となった。一方、下請企業の加入率は会員企業を大きく下回り、特に下請企業の社員外で加入率が低迷している。工事現場では、会員企業は1次下請、下請企業は2次以下の下請に位置付けられる。下請企業の加入率を見ると、社員は61・6%とサンプル数の拡大も影響して前回を12・4ポイント下回った。社員外は7・3%と前回よりは4・5ポイント上昇したが、依然1桁の加入率にとどまっている。健康保険と雇用保険の加入率についても、会員企業と下請企業、社員と社員外で厚生年金とほぼ同様の傾向が見られる。

国土交通省は8月から、直轄工事で社会保険未加入企業を排除する措置を実施。15年度からは入札参加資格審査でも未加入企業の排除措置を取る。他の公共発注機関にも同様の取り組みを要請しており、加入率は今後、徐々に上昇していくとみられる。建専連は今回の調査報告書で、人手不足が顕著な他産業でも労働者の処遇を改善する動きが加速しており、建設業も人材確保競争を勝ち抜くためには社会保険加入の促進をはじめとする労働環境整備に官民を挙げて取り組む必要があると指摘している。

建専連の社会保険未加入対策具体化検討委員会で委員長を努める芝浦工大の蟹澤宏剛教授は「健康保険への加入を徹底し、曖昧な雇用形態を整理した上で、雇用保険の対象者と非対象者を明確化することや、偽装請負ではない一人親方の位置付けと処遇を確立することが具体策になるだろう」と話している。

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