2014/8/29 国交省/15年度予算概算要求/公共事業関係費16・2%増6兆円

【建設工業新聞 8月 29日 1面記事掲載】

国土交通省は28日、15年度予算の概算要求を発表した。一般会計の総額(国費)は前年度比15・7%増の6兆6870億円。うち公共事業関係費は16・2%増の6兆0121億円となった。インフラの維持管理や災害対応などを担う建設業が中長期的な建設投資の規模を見通せるよう公共事業予算を安定的・持続的に確保する観点から、通常の要求と「新しい日本のための優先課題推進枠」を最大限活用した要求を行うことにした。

公共事業関係費のうち新しい日本のための優先課題推進枠では1兆3440億円を要求する。一般会計とは別枠の東日本大震災復興特別会計には48・3%増の8834億円(復旧・復興8410億円、全国防災423億円)を計上した。

国交省の公共事業予算は、13年度に削減に歯止めが掛かり、14年度もほぼ横ばいの水準を維持している。今回の概算要求では、東日本大震災からの復興を加速させるとともに、地方創生と人口減少の克服、防災・減災対策、国土強靱(きょうじん)化、インフラ老朽化対策などによる国民の安心・安全の確保、国際競争力の強化をはじめとした成長戦略の具体化に向けて必要額を積み上げた。

特に、地方創生が政府の重要課題となる中、7月にまとめた長期構想の「国土のグランドデザイン2050」に示した「コンパクト+ネットワーク」などの考え方に基づく戦略的な取り組みを展開するため、コンパクトシティーの推進に153億円を計上。社会資本整備総合交付金には1兆0644億円(前年度比16・7%増)を要求し、地方創生をインフラ整備の側面から支援できるようにする。

防災・減災や老朽化対策では、水害、土砂災害、高潮災害、渇水など気候変動に伴う各種災害への対策として、「多重防御」の考え方による適応策などに取り組む。南海トラフ地震や首都直下地震対策などには2441億円を要求。粘り強い構造の防波堤・海岸堤防の導入など耐震・耐津波性能を強化するほか、災害時に危険な密集市街地の総合的な環境整備にも重点的に取り組む。インフラの老朽化対策では、戦略的な維持管理・更新の推進に4400億円を計上。防災・安全交付金に1兆2647億円(前年度比16・7%増)を確保し、防災・減災対策、インフラの点検・診断、修繕・更新、交通安全対策など地域の総合的な取り組みを集中的に支援する。

事業の実施に当たっては、最新の労務単価を適用した適正価格での契約や、技術者・技能者を効率的に活用するための発注ロットの大型化などを徹底する。

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