2014/9/8 公共工事品確法運用指針-元請団体、広範囲な意見提出/入札契約から予算確保まで

【建設工業新聞 9月 8日 1面記事掲載】

改正公共工事品質確保促進法の運用指針の策定で国土交通省が提出を求めていた元請関係主要団体からの意見が5日までに出そろった。工期設定の根拠明示や発注平準化、設計変更の適正運用など、直面する課題への対応を要請。会員の意見を踏まえ、公共事業予算の確保・拡大を求める声も出るなど意見の内容は広範囲にわたっている。同省は、団体や自治体などの意見を踏まえ、運用指針の骨子を10月までに固め、年内に策定する方針だ。

意見は、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、日本道路建設業協会(道建協)、日本埋立浚渫協会(埋浚協)、日本橋梁建設協会(橋建協)、プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)などが提出している。各団体の主な意見を見ると、日建連は、施工に関する国交省の施策をすべての発注者が「共通ルール」として実施するよう提案。特に自治体への支援・フォローを申し入れた。調査・設計段階からの施工者のノウハウの活用、WTO対象工事での施工体制確認型総合評価方式の採用、非効率な小分割発注と過度な地域要件の是正、週休2日と不稼働日を考慮した工期設定なども求めた。WTO対象工事で請負額の50%を超す追加工事が発生した場合の柔軟な設計変更対応も求めた。

全建は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)を踏まえ、「人材の確保・育成は急務」と指摘し、公共事業予算の確保・拡大を要請。さらに施工者の利益の確認など同法の理念を浸透させる措置の実行を提案した。技術者の固定化や若手技術者が育たないといった総合評価方式のマイナス影響の明示、価格を事前公表する措置の全廃、設計コンサルタントの成績・実績の厳格な評価なども必要だとした。

全中建は、歩切り禁止の徹底に加え、発注者、コンサルタント、施工者による「(仮称)現場推進会議」の制度化、建設機械を持つ企業の優先的な指名などを提案した。道建協は、関連工事の引き渡し時期や追加工事の概算金額・数量の明示、設計照査ガイドラインの適切な活用を要望した。埋浚協は、要求以上の能力の船舶を用意せざるを得なかったり、限られた船舶の使用が重複したりするケースがあるとして、工事に使う特殊作業船舶の条件の明示を強く求めた。

橋建協は、技術の伝承・継承の重要性を意識し、つり橋、斜張橋、トラス・アーチなど技術的難度や景観性の高い橋梁の建設を計画するよう要望した。製作工場を保有する会員企業の経営の現状を踏まえ、発注の平準化と適正工期の設定も訴えた。技術提案の審査でいわゆるオーバースペックを評価しない対応も必要だとしている。

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