2014/10/01 バックホウは1万m3以上、ブルドーザは2万m3以上が試行対象 / 施工者希望型の加点増加へ (第16回 情報化施工推進会議)

9月30日、機械振興会館において第16回情報化施工推進会議が開催された。
開会にあたり、国土交通省大臣官房 清水亨技術参事官より、
「人手不足に対する省力化だけでなく、情報化施工の格好の良いイメージで
若者を惹きつけていきたい」と挨拶があった。
続いて委員長を務める立命館大学の建山和由教授より、
「震災復興やオリンピック開催による人手不足だけでなく、2020年以降も
この状況は続く。労働生産性の向上が課題であり今後も情報化施工の
浸透が必要だ」と挨拶があった。


国土交通省大臣官房 清水亨技術参事官

立命館大学教授 建山和由委員長

会議では平成25年度の情報化施工技術の活用工事件数は1,000件を突破し、
特に一般土木Cクラスの工事での活用件数が急増しており、占有率も
平成24年度の6割から25年度は7割(1,114件中786件)へと増加していることが
報告された。


情報化施工技術の活用率を技術別にみると、一般化或いは推進技術とされたTS出来形の
高い導入比率に続いて、マシンコントロール(MC)技術のモーターグレーダが63%と
目標活用率を越えているのが目立つ。
これは他の施工技術では施工人員を減らすことが出来る訳ではないことに対し、
MCグレーダー施工では確実に1名の測定人員が減らせることと、施工精度の向上が
見込めるためと思われる。


情報化施工の効率化の一例として、
マシンガイダンス(MG)バックホウを使用して情報化施工の効率化を図る際には、
まずMG自体の稼働率を向上させMGの必要な作業に集中させるために、
法切りの切り出し作業だけにMGバックホウを集中させ(下図①③④)、
その他の作業は通常のBHで施工(下図②)する作業例が紹介された。


事務局からの議題説明に対して委員からは、
「習熟度を上げないといけないとか、専門の人員が不足しているなどの
アンケート結果があるが、これは今後の人員不足に対する情報化施工の使命と
反しているのではないか」

「難しい方向にいきすぎている。人材確保が急務な時代なので、運転技術を習得するのに
普通は5年かかるものが2~3年で出来る様なメリットを打ち出していく方が良いと思う」

「地方ではTS出来形が一般化技術とされてとても困っている。TSに即した
データ提供がないので使えていない。国総建の研究には良い方向性の事例
(後出:設計段階でLandXMLデータを作成)があるので是非利用して欲しい」

「情報化施工では施工のトレーサビリティが確保されるが、このデータの活用により
中間立会などの必要性が軽くなれば良いと思う。トレーサビリティを追うことで
情報化施工が必然化するのではないか」等の意見が出された。


続いて今後の方向性について、
(1)未経験者が高度なノウハウが無くても効果を実感しやすい施工規模での試行に
ターゲットを絞る。
具体的にはバックホウでは1万m3以上、ブルドーザでは2万m3以上の施工量を
確保した場合とし、合計数量が1万、2万m3であっても、分散しているような場合は
協議出来る方向とする。

(2)施工者の自由度を拘束する発注者指定型の件数を減らす方向とし、
施工者希望型の加点を増やす方向とすると説明があった。


第2期の推進戦略プログラムの進捗状況についても報告があり、
(1)TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理要領を今年度末には改訂し、200mに1回
必要とされているまき出し厚の写真管理を不要とする。

(2)現在は40m±1cmの管理を求められているが、情報化施工のMC・MGに適した
出来形管理として、40m±1mの計測許容範囲で良いことと(近傍計測)する。
この結果、計測時間は1/2程度まで短縮される。

(3)TS出来形管理において、書面検査のシステム上での自動確認の監督・検査上の
位置づけを明確にする。
この結果、規格値の自動チェックが可能となり発注・受注者共に効率化が図れる。

(4)今迄の設計データだけでなく、設計段階でLandXMLデータを作成し施工者に
渡すことで、8時間かかっていた手入力作業が0.1時間で済み、98%の効率化が図れた等の
報告があった。

最後に国土交通省 総合政策局 公共事業企画調整課より、情報化施工機器を搭載した
省エネルギー型建設機械等の新規導入補助制度の紹介があった。
これは通常のブルドーザやバックホウと情報化施工機器搭載の差額分について
2/3(上限300万)を補助するもので、詳しくは一般財団法人 製造科学技術センター
省エネ機械導入促進事業本部(http://www.eco-kenki.jp/)が問い合わせ先に
なっているので活用して頂きたい。


※資料はすべて情報化施工推進会議資料より

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