2014/10/03 全中建ブロック別意見交換会/関東地区でスタート/歩切り根絶、処遇改善を

【建設工業新聞 10月 03日 2面記事掲載】

全国中小建設業協会(全中建、松井守夫会長)と国土交通省による14年度全国ブロック別意見交換会が2日、関東ブロックから始まった。全中建は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)をはじめとする担い手3法の運用と具体策を中心に幅広い議論を行っていく考え。関東ブロックでは、予定価格を根拠なく切り下げる「歩切り」や、技能者の処遇改善が議題に挙がった。意見交換会は12月2日の中国まで全国7ブロックで行われる。

関東ブロックは計2回の会合が予定されており、この日は東京都中小建設業協会(都中建、豊田剛会長)、全中建南多摩(若林克典会長)、神奈川県中小建設業協会(河崎茂会長)、横浜建設業協会(土志田領司会長)、国交省から佐藤守孝土地・建設産業局建設業課入札制度企画指導室長、川浪信吾関東地方整備局建政部建設産業調整官が出席した。

冒頭、佐藤室長が建設業や担い手3法の現状と関連施策を説明。担い手の確保・育成に取り組むことの重要性を強調するとともに、実態調査などを通じて入札契約の適正化を自治体に粘り強く要請したり、若年者を雇用する建設会社を経営事項審査で優遇したりする考えを表明した。

意見交換では、中村正直神奈川県中小建設業協会副会長が、「見積もり段階で単価が七掛けにされるなど、歩切りでなく『割り切り』がある」と指摘。全中建南多摩会員の鈴木成彦氏は「同じ発注者でも(価格を下げる)掛け率が担当者ごとに違う」と現状を説明した。

佐藤室長は、歩切りを明確に違法と位置付けた公共工事入札契約適正化指針などを説明。実態調査によって現状を把握した上で、必要な措置を講じる考えを示した。併せて、歩切りの実態に関する情報提供も呼び掛けた。

細沼順人都中建理事は重層下請問題に言及し、「元請会社が払った賃金が最前線の作業員に行き渡った額のデータ化」を求めた。さらに全中建は、設計労務単価の引き上げ、最新資材単価の反映を含む見積もりの是正などを申し入れた。

議論を総括した土志田会長(全中建副会長)は「安ければ良いという風潮は正さねばならない」とした上で、「(施工者の適正利潤確保をうたった)担い手3法は最後の頼みの綱。われわれの意見を自治体に届けることが来年、形になってくる」と述べ、入札契約制度の改善を強く求める考えをあらためて表明した。

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