2014/10/22 全建・近藤晴貞会長/ブロック会議前半終え中間報告/業界変える議論に手応え

【建設工業新聞 10月 22日 1面記事掲載】

全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)と傘下の都道府県建設業協会が、国土交通省をはじめとする公共発注機関と各地で行っている14年度のブロック会議が22日から後半戦に入る。開催済みの4地区では、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に定められた施工者の適正利潤確保や発注者の責務をめぐって活発な議論が交わされてきた。近藤会長は20日に富山市内で中間報告として記者会見し、「建設業を変えていこうという同じ思いで議論が行えている」と手応えを示した。

これまでブロック会議が行われたのは、関東甲信越(東京都千代田区、7日)を皮切りに、四国(松山市、9日)、近畿(大津市、16日)、北陸(富山市、20日)の4地区。各地区で全建側は、社会資本の整備や維持管理、防災対応を担っている地域建設業の経営の安定化に向けて、公共事業予算の計画的・安定的な確保を要望。加えて、改正公共工事品確法の適正な運用と自治体への趣旨の浸透、工期の平準化、価格設定の見直し、入職促進施策の拡充、発注関係事務の適正化などを申し入れ、意見交換してきた。国交省からは、要望を踏まえたモデル工事の実施、債務負担行為や予算の繰り越し措置による発注の平準化、予定価格を根拠なく切り下げる「歩切り」の根絶に向けた対応などに取り組んでいく考えが示された。

改正公共工事品確法をめぐっては、岡野益巳京都府建設業協会会長らが「中小建設業は自治体発注工事の受注が多く、首長、発注機関の長、監督員、外部委託技術員まで(改正法に対する)理解が必要」と、自治体による改正法の順守を強く求めた。北陸地区の会合には、全建側の要請に応じ、富山、福井、石川の各県の発注担当者がはじめて出席した。会見で近藤会長は「素晴らしい成果。意思疎通には一番いい。各地区とも(自治体を交える)こういう形で行うのが望ましい」と3県の対応を高く評価した。

東日本大震災以前まで、公共投資の削減が続いてきたこともあって、従来のブロック会議は、予算の確保が議論の焦点になり過ぎる傾向もあった。本年度の4地区の会合では、歩切りの根絶に必要な対応、最低制限価格の撤廃、発注の平準化、適切な価格・工期の設定と設計変更の実施といった受注者が適正な利潤を確保するための踏み込んだ議論が行われている。近藤会長は「適正利潤とは何なのか、さらに議論したい。利潤のボリュームまで議論しなければ、経営は安定化されない」と述べ、適正利潤に関する一段と踏み込んだ議論に意欲を見せた。

今後開かれる中国(鳥取市、22日)、東海(岐阜市、28日)、東北(仙台市青葉区、30日)、九州(福岡市博多区、11月12日)の各地区の会議でも、改正公共工事品確法の自治体への浸透と適正利潤に関する活発な議論を促していく方針だ。

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