2014/10/27 国交省/「歩切りは違法」再度周知/国・自治体に要請文書、近く実態調査

【建設工業新聞 10月 27日 1面記事掲載】

国土交通省は、公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づき発注者が講じる措置を整理し、各省庁には財務省、都道府県や政令市には総務省と、各大臣連名の要請文書を22日付で出した。適正な予定価格の設定を巡り、設計金額の一部を控除する「歩切り」が違法行為に当たることをあらためて周知。総務省と連携し近く自治体向けの実態調査に入り、その結果を踏まえた聴取を経て、必要に応じた個別発注者名の公表などによる改善を促す。

要請文書は、先の国会で改正した入契法の適正化指針、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の基本方針が9月30日に閣議決定したことを踏まえて発出。▽緊急に措置に努めるべき事項▽継続的に措置に努めるべき事項▽情報の公表を行わなければならない事項▽その他公共工事の入札および契約に関する留意事項-の4項目に整理した。

歩切りは公共工事品確法の規定に違反し、建設業の健全な発達も阻害するとして、「厳に行わないこと」と明記。実態調査では、歩切りを行っているか否かを聞いた上で、「ランダム係数を乗じる」「端数を調整する」といった具体的な控除のやり方も回答してもらう。調査結果を踏まえ、どの程度の設計金額を控除していると違法性が認められるかを見定め、改善措置を講じていく。

ダンピング対策は、その防止に有効な低入札価格調査制度や最低制限価格制度の導入の有無を、入契法に基づく実施状況調査で把握。未導入の機関には、早急な制度導入に向けた検討を促す。来年4月から施工体制台帳の作成・提出義務がすべての公共工事に拡大することから、粗雑工事の誘発を生じるおそれがある場合の適正な施工を確保するのに活用するよう求めた。

低入札価格調査基準価格や予定価格の事前公表は、建設業者の真の技術力・経営力による競争を損ねる可能性があるとして取りやめるよう要請。入札前に関係職員から予定価格や基準価格を聞き出す不正行為を抑止するため、予定価格の作成時期を入札書の提出後とするなど、国交省が直轄工事で実施する手法を参考に発注者の談合関与を徹底排除することも要請した。

入札不調・不落時の再入札や、同種工事で不調・不落が発生しているような場合、入札参加者から見積もりを徴収して積算を行うことなど適正な予定価格の設定も要請。適正な施工確保のための計画的な発注や適正な工期設定へ、債務負担行為を積極的に活用した発注・施工時期の平準化や各発注者が連携した発注見通しの統合公表などにも取り組むよう求めた。

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