2014/11/06 経財諮問会議で社会資本整備議論/国交相「公共投資の安定・持続的見通しを」

【建設工業新聞 11月 6日 1面記事掲載】

政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で4日、社会資本整備をめぐる議論が行われた。臨時議員の太田昭宏国土交通相は、激甚化する気象災害などに備えるインフラ整備や維持管理・老朽化対策を計画的に実施することが重要だと強調。現場の担い手確保も欠かせないと指摘し、そのためにも安定的・持続的な公共投資の見通しを示すことが必要と訴えた。

太田国交相は、▽激甚化する気象災害と切迫する巨大地震▽加速するインフラ老朽化▽人口減少による地方の疲弊▽激化する国際競争-という四つの危機に直面していると指摘。インフラを賢く使うなどストックを有効活用したり、限られた財源の中で選択と集中を徹底したりしながら戦略的インフラマネジメントを進めることが必要になると訴えた。

近年の建設投資の急減に伴うダンピング受注や下請企業へのしわ寄せで離職者が増え、若手の入職者が減少していることも指摘。公共工事設計労務単価の引き上げや社会保険への加入促進といった処遇改善によって将来を見通せる環境を整備すると同時に、教育訓練の充実や女性活用を推進する方針も示した。建設生産システムの省力化・効率化に向けた新技術・新工法の開発や、重層下請構造の改善などによって、民間設備投資を含めて建設投資が円滑に実施される環境を整備する考えも示した。

安倍首相は、公共事業の実施について「限られた予算で公共サービスを効率的に供給するため、民間活用と地方自治体の創意工夫を生かす仕組みを検討してほしい」と指示した。

一方、伊藤元重東大教授ら民間議員は、2020年東京五輪への対応を含め、公共工事を平準化する計画的な取り組みが必要だと指摘した。現状は、年初に行われる補正予算の編成や単年度予算主義の制約が計画的な事業執行を困難にさせているとして、補正予算は災害対応など緊急対応するものに限定すると同時に、国庫債務負担行為の活用促進を検討するよう求めた。

このほか、有料道路の建設費償還をめぐり、社会資本の長寿命化や民間資金の積極活用などの観点から、料金徴収を恒久化するよう提言。これにより、コンセッション方式やPFIの導入を促し、維持管理・更新財源の捻出や利便性の高いサービスの提供が可能になるとした。

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