2014/11/20 解散・総選挙-経済対策へ動き加速/増税先送り、公共事業削減論に警戒感
【建設工業新聞 11月 20日 1面記事掲載】
安倍晋三首相が衆院解散と12月14日投開票の総選挙実施を表明して一夜明けた19日。東京・永田町の自民党本部や霞が関の各省庁では、首相が指示した経済対策の策定に動きだした。自民党では稲田朋美政調会長の要請を受けて各部会から対策に盛り込む要望事項が提出された。補正予算は小規模で公共事業も限定される見通しだが、国土交通省や業界からは大きな異論は出ていない。一方で、消費再増税先送りによる財源不足で公共事業費の削減論が再燃するとの警戒感が出始めている。
経済対策は、安倍政権が「3本の矢」として進める経済政策アベノミクスの効果を確実なものにするのが目的。規模は、2兆~3兆円程度になる見込みで、これの裏付けとなる14年度補正予算案が年内にも編成される。首相は、▽エネルギー価格の高止まりや消費の足踏みなどに配慮した地域の消費喚起▽しごとづくりなど地方の活性化▽災害復旧など災害・危機への対応-の三つを柱にするよう指示した。低所得者向けの消費刺激策や円安に苦しむ中小企業対策が中心となる。補正予算案は、年明けの通常国会冒頭で提出される予定だ。
18日の経済財政諮問会議後に記者会見した甘利明経済財政担当相は補正予算編成について、「公共事業よりも消費の落ち込み、地方経済の疲弊にフォーカスを絞る」との方針を表明。公共事業費は災害復旧などに限定される見通しだ。12年度補正予算では公共事業費(国土交通省分、国費ベース)を約1兆8000億円、13年度補正では約7500億円を計上したが、今回は「従来型とは少し違う」(甘利担当相)と小ぶりの規模になりそうだ。
建設業界では、担い手を確保・育成するためにも長期安定的な建設投資の見通しを示してほしいと訴えてきた。太田昭宏国交相もこれに呼応するように、「補正予算で公共事業費を急激に増減させるのではなく、当初予算で事業費を緩やかに増やせるようにしたい」とこれまで繰り返し発言してきた。そのため、今回の経済対策や補正予算で取りざたされている規模や内容について、国交省内には異論を唱えるような声は出てこない。
懸念事項はむしろ、15年10月に予定されていた10%への消費税率引き上げが先送りされたことにある。増税延期で社会保障費として見込んでいた増額分が歳入として見込めなくなったことから、他の事業があおりを食う可能性が出てきたためだ。国交省内では「公共事業費の安定的な確保に影響が出かねない。来年10月の増税を前提に準備を進めてきた取り組みもいろいろあった」(幹部)、業界内からも「今後、財政議論の中で公共投資の削減が浮上してくることが大いに懸念される」(関係者)といった意見が出始めている。
一方、総選挙をめぐっては、「安倍政権が進めてきた防災・減災の取り組みが選挙で評価されれば、業界にとって追い風になるだろう」(地方建設業界幹部)との期待する声が聞かれた。自民党の脇雅史、佐藤信秋両参院議員は同日、東京都内で開かれた会合であいさつし、15年度予算での公共事業費の増額と中期的な計画の策定を政府に申し入れる考えを明らかにした。
経済対策は、安倍政権が「3本の矢」として進める経済政策アベノミクスの効果を確実なものにするのが目的。規模は、2兆~3兆円程度になる見込みで、これの裏付けとなる14年度補正予算案が年内にも編成される。首相は、▽エネルギー価格の高止まりや消費の足踏みなどに配慮した地域の消費喚起▽しごとづくりなど地方の活性化▽災害復旧など災害・危機への対応-の三つを柱にするよう指示した。低所得者向けの消費刺激策や円安に苦しむ中小企業対策が中心となる。補正予算案は、年明けの通常国会冒頭で提出される予定だ。
18日の経済財政諮問会議後に記者会見した甘利明経済財政担当相は補正予算編成について、「公共事業よりも消費の落ち込み、地方経済の疲弊にフォーカスを絞る」との方針を表明。公共事業費は災害復旧などに限定される見通しだ。12年度補正予算では公共事業費(国土交通省分、国費ベース)を約1兆8000億円、13年度補正では約7500億円を計上したが、今回は「従来型とは少し違う」(甘利担当相)と小ぶりの規模になりそうだ。
建設業界では、担い手を確保・育成するためにも長期安定的な建設投資の見通しを示してほしいと訴えてきた。太田昭宏国交相もこれに呼応するように、「補正予算で公共事業費を急激に増減させるのではなく、当初予算で事業費を緩やかに増やせるようにしたい」とこれまで繰り返し発言してきた。そのため、今回の経済対策や補正予算で取りざたされている規模や内容について、国交省内には異論を唱えるような声は出てこない。
懸念事項はむしろ、15年10月に予定されていた10%への消費税率引き上げが先送りされたことにある。増税延期で社会保障費として見込んでいた増額分が歳入として見込めなくなったことから、他の事業があおりを食う可能性が出てきたためだ。国交省内では「公共事業費の安定的な確保に影響が出かねない。来年10月の増税を前提に準備を進めてきた取り組みもいろいろあった」(幹部)、業界内からも「今後、財政議論の中で公共投資の削減が浮上してくることが大いに懸念される」(関係者)といった意見が出始めている。
一方、総選挙をめぐっては、「安倍政権が進めてきた防災・減災の取り組みが選挙で評価されれば、業界にとって追い風になるだろう」(地方建設業界幹部)との期待する声が聞かれた。自民党の脇雅史、佐藤信秋両参院議員は同日、東京都内で開かれた会合であいさつし、15年度予算での公共事業費の増額と中期的な計画の策定を政府に申し入れる考えを明らかにした。
日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら