2015/01/20 国交省/法定福利費確保へ対策強化/社保未加入対策推進協が取り組み申し合わせ

【建設工業新聞 1月 20日 1面記事掲載】

国土交通省は19日、第4回社会保険未加入対策推進協議会(蟹澤宏剛会長)を東京都内で開き、加入原資となる法定福利費の確保に向けた関係者間の取り組み強化を申し合わせた。法定福利費を内訳明示した見積書を下請企業から元請企業に提出しやすい環境を整えるのが狙い。国交省はその一環で、法定福利費の算出方法などを示す資料を年度内に作り、小規模業者などの見積書作成に役立ててもらう。建設業会計や経理実務上の法定福利費の位置付けや扱いも整理する。

国交省が昨年末に実施した調査では、法定福利費を内訳明示した見積書を提出しなかった理由として、「注文者から提出するよう指示がなかった」との回答が多数を占めたことから、今回の申し合わせでは、提出しやすい環境を整えるため、元請が下請に示す見積もり条件で内訳明示した見積書の提出を促すとした。現在、意見を募集中の「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」改定案でも同じ内容を記載しており、提出された見積書を尊重し、他の費用との減額調整を慎むことも求めている。申し合わせを踏まえて国交省は今後、法定福利費の確保について、別枠支給、別枠明示、事後精算などの法令や請負契約上の措置や、代金支払いの実務・商習慣などの観点からの調査・検討にも乗りだす。

昨年10月に実施した公共事業労務費調査で社会保険の加入状況を調べたところ、3保険(雇用、健康、年金)すべてに加入している技能労働者の割合は67・3%と前年度比で5・6ポイント上昇。昨年8月に同省直轄工事で開始した未加入業者排除策などの施策が着実に効果を上げ始めている。今回の対策強化によって、17年度以降に「企業単位で建設業許可業者の100%」「労働者単位で製造業相当」とした加入目標の確実な達成を目指す。

同日の推進協で国交省の毛利信二土地・建設産業局長は、「本年度は、13年度に始まった対策の中間年度。今回の会議でこれまでの取り組みを総括することは大きな意義がある」と述べ、関係者が問題意識を共有し、対策を一層推進するよう協力を求めた。蟹澤会長は、「若い人が希望を持って働ける産業になるために、将来振り返った時にこの協議会が(加入促進へ)大きなきっかけになったと言えるようにしたい」と期待を込めた。会合では日本建設業連合会(日建連)や全国建設業協会(全建)が今後の取り組み方針を説明。全建は、17年度の目標達成に向けた取り組みを担い手確保・育成に向けた新たな行動指針に盛り込むことを明らかにした。

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