2015/01/23 国交省/都道府県の発注平準化策調査結果/債務負担行為、維持管理や除雪に活用

【建設工業新聞 1月 23日 1面記事掲載】

国土交通省は、公共工事の発注・施工時期の平準化について、都道府県の取り組み状況に関する調査結果をまとめた。工期が複数年にわたる大規模工事への適用が一般的な債務負担行為を維持管理や除雪にも活用する事例が秋田県、富山県、島根県など複数の自治体で見られた。建設業者の毎月の手持ち工事量の変動を少なくし、労働力や資機材の効率活用につなげるのが平準化の狙い。調査で得られた例を紹介するなどして他の自治体にも広げたい考えだ。

発注や施工時期の平準化は、月内にも策定される改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針にも明記される。労働力や資機材の効率活用を図り、短期的には入札不調・不落の防止、長期的には公共工事の担い手確保につなげる狙いがある。国交省の直轄工事では、15年度から舗装工事や築堤・護岸工事などで2カ年の国庫債務負担行為を設定する取り組みを開始。年度末に集中しがちな工期を分散させ、4~6月に工事量が一気に減る現状を改める。

国交省は、平準化に向けた債務負担行為の活用実態などを把握する目的で昨年12月、都道府県にアンケートを行い、45団体から回答を得た。比較的工期が短い工事にも債務負担を活用する事例に加え、ゼロ県債を年度端境期の平準化を目的に利用しているとの回答が、青森、秋田、福島、栃木、群馬、新潟、富山、石川、滋賀、高知、福岡、佐賀、熊本の13県から寄せられた。

平準化の具体的な事例として東京都では、工期が12カ月未満の場合も債務負担行為を効果的に活用するなど取り組みを強化。富山県は、14年11月の補正予算にゼロ県債として前年度より5億円多い16億円を計上し、年度間の切れ目のない発注と計画的な執行を目指している。京都府は、14年9月の補正予算で、「単独公共事業執行平準化対策費」として25億円の債務負担行為を設定した。宮城県は東北地方発注者協議会による発注見通しの統合公表に参加し、発注状況の変化に対応した四半期ごとの見通しを作成。高知県は、翌債・繰り越し制度の活用を管内市町村に働き掛けた。

債務負担行為の活用については、「公共工事品確法改正を機に調整・連携を促進する」「他団体を参考に検討する」などの回答も多かった。このため国交省は、直轄工事や先進自治体の事例を提供するなどして取り組みを促す考えだ。

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