2015/03/06 日建連/社保加入促進実施要領策定/作業員名簿で加入確認

【建設工業新聞 3月 6日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)の労働委員会(今井雅則委員長)は5日、「社会保険の加入促進に関する実施要領」を決めた。下請企業の会社・労働者単位での社会保険加入を促すため、作成が義務化されていない工事でも施工体制台帳を活用したり、加入状況欄を設けた作業員名簿を使用したりする方策を打ち出した。法定福利費が内訳明示された見積書の提出を見積もり条件にすることも盛り込んだ。会員に周知し、取り組みを促す。

日建連は、国と歩調を合わせた社会保険未加入対策の一環として1月に「社会保険加入促進要綱」を決定。実施要領は、要綱に基づく会員企業の取り組みの実効性を高める狙いでまとめた。4月1日から適用する既存の「社会保険の加入に関する下請指導の指針」と「法定福利費を内訳明示した見積書の活用のマニュアル」を一本化し、要綱に盛り込んだ取り組みの詳細を現場の実態に配慮した内容で示した。「要綱と実施要領に基づき、社会保険加入促進に対し会員企業が足並みをそろえ積極的に取り組んでいきたい」との今井委員長の談話も発表した。実施要領は、▽社会保険加入の指導と徹底▽適正な法定福利費の確保▽雇用と請負の明確化(偽装請負の排除)▽適用―で構成する。

会員会社は、下請の企業・労働者単位での社会保険加入徹底を社長通達などで周知。元下請契約を結んだ後は、施工体制台帳や再下請負通知書で下請の加入状況を確認し、未記載の場合は再提出を指導する。台帳作成が義務化されていない工事でも加入を確認する。作業員名簿で労働者の加入状況をチェックする考えも示し、加入状況欄を設けた名簿の使用を「徹底するよう指導する」とした。加入は保険者番号の一部などで確認し、その書式も示した。作業員名簿は法令では作成を求めていないが、積極的な活用を促すという。

法定福利費をめぐっては、下請の労働者が社会保険に適正加入できる金額での契約を発注者と締結することをうたった上で、法定福利費を内訳明示した見積書の提出を1次下請との見積もり条件にする。元下請契約の順序、法定福利費を精査する際の留意点、保険料の算出方法も示した。社会保険の適用除外者などに関する規定も設けた。職業安定法や労働者派遣法違反がかく、「偽装請負」でないことが明確な場合に限り、個人事業主や一人親方などは、法定福利費の内訳明示の対象から除外する。

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