2015/03/17 国交省/社保加入状況調査/3次下請で大幅上昇、官民の取り組み奏功

【建設工業新聞 3月 17日 1面記事掲載】

国土交通省は16日、建設業の企業と労働者を対象にした社会保険(雇用、健康、厚生年金)の加入状況の調査結果(14年10月時点)を明らかにした。3保険すべてに加入していた企業の割合は92・8%と前年同月調査から2・8ポイント上昇。労働者の加入率は5・6ポイント高い67・3%になった。特に2次、3次下請以下の上昇が顕著で、3次以下は10ポイント近く上がった。国交省の直轄工事で未加入業者を排除する対策を導入したことや、公共工事設計労務単価を引き上げたことに加え、業界挙げて取り組んだ加入促進策が奏功し、加入率を押し上げたとみられる。

国交省は昨年8月から直轄工事で、社会保険未加入の元請業者には入札の参加を認めず、下請代金総額3000万円(建築一式は4500万円)以上の工事では1次下請業者も加入企業に限定した。設計労務単価には社会保険の加入費用となる法定福利費も反映させ、13年4月に15・1%(全国全職種単純平均)、14年2月には7・1%(同)引き上げた。調査を行った昨年10月は、労務単価の最初の引き上げから1年半が経過し、さらに2回目の引き上げも含めた効果が具体的に表れてくる時期とみられていた。

前回調査では、3次下請以下の労働者の加入率の伸びが鈍化して48・8%だったが、今回は58・3%と9・5ポイントの大幅上昇になった。企業の加入率は6・3ポイント上がって82・6%となった。2次下請も労働者で6・4ポイント上昇の57・3%、企業で4・4ポイント上昇の86・2%だった。元請業者の加入率は企業で97・5%(前回調査96・7%)、労働者で82・8%(80・1%)、1次下請の加入率は企業で93・6%(90・8%)、労働者で65・6%(59・5%)といずれも上昇。上昇幅も前回調査をおおむね上回った。

地域別で見ると、加入率は企業、労働者ともに全地域で上昇。特に関東や近畿では大きく伸びた。ただ大都市を抱える両地域は加入割合がもともと低い地域で、関東の労働者加入率は49・1%、近畿は57・9%と全国平均(67・3%)との差は依然として大きい。企業の加入割合を職種別に見ると、鉄筋工が86%(前回調査78%)、型枠工が89%(83%)、とび工が89%(84%)などと着実な伸びを示している。加入状況のデータは昨年10月に実施した公共事業労務費調査から集計した。調査対象企業は約2万4000社、対象労働者は約10万7000人。労働者全体の加入率は今年1月の段階で速報値として公表していた。

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