2015/03/25 国交省/技術提案・交渉方式指針案で3タイプ明示/多様な入札選択で事例も

【建設工業新聞 3月 25日 1面記事掲載】

国土交通省は、技術提案・交渉方式を採用する入札手続きの運用ガイドライン案をまとめた。具体的な手法として、設計・施工一括方式、設計への技術協力後に施工の契約を結ぶ方式、設計後の交渉を経て施工の契約を締結する方式の3タイプを明示。工事内容に応じて3タイプから絞り込む考え方も示した。発注者が多様な入札契約方式から最適な方式を選択できるようにするガイドライン案も作成。先行事例として22方式31事例を示した。いずれも本年度内に成案にする。両ガイドライン案は、24日に開かれた有識者会議「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(小澤一雅座長)に示した。  

  技術提案・交渉方式の指針案では、同方式を「設計・施工一括タイプ」「技術協力・施工タイプ」「設計交渉・施工タイプ」に分類。うち「技術協力・施工タイプ」は、契約に基づき施工者(優先交渉権者)が設計への技術協力や見積もりを行い、施工の契約は別に結ぶ方式。新国立競技場工事で採用された「アーリー・コントラクター・インボルブメント(ECI)方式」が当てはまる。  

  設計交渉・施工タイプは、設計、施工の受注者は同一だが、契約は別々に行う。設計後の交渉で合意に至らなければ施工契約は結ばない。適用する工事は技術的難易度や社会的重要度が高く「発注者が最適な仕様を設定できない工事」か、大規模修繕など施工段階にならないと工法などが確定しない「仕様の前提となる条件の確定が困難な工事」の2種類を想定している。  

  施工前に行う発注者との交渉の結果、合意した事項は見積もり条件書で明確にしておく。施工段階になって見積もり条件と現場の条件が異なれば契約額を変更する。多様な入札契約方式の指針案は、各方式の特徴や留意点、選択する際の基本的な考え方を示した「本編」と「事例編」で構成。方式を選択する時期は「事業開始段階が望ましい」とし、各方式のメリットや注意点も明記している。  

  事例編では、入札契約方式と、その方式を選んだ理由や適用の効果を表にまとめた。表によって、工事の複雑度や制約、工期や品質など求めたい効果から、設計・施工一括発注方式や維持管理付工事発注方式などの事例をたどることができる。国交省や高速道路会社、都市再生機構の発注工事のほか、日本スポーツ振興センターが発注した新国立競技場工事など計31事例を収録。事例ごとに入札説明書などのポイントや、公告から技術提案、契約までに要した期間、発注した機関の連絡先を紹介し、指針全般の問い合わせに応じる地方整備局などの窓口一覧も掲載している。

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