2015/03/26 国交省/総合評価方式、「実績」から「成績」へかじ/価格偏重是正、品質向上

【建設工業新聞 3月 26日 1面記事掲載】

国土交通省は直轄工事に導入している総合評価方式の入札で、施工能力や技術力が評価されにくくなっているとされる課題への対応策をまとめた。「施工能力評価型」などでは価格で落札者が決まる傾向が強いことから、品質確保の視点も加味し、過去に施工した工事の成績を、施工実績より高く評価する方式を試行。併せて、直轄工事の施工実績がない企業も新規参入しやすくなるよう、施工計画や自治体発注工事の実績を評価する試行工事も全国で展開する。

過去の工事実績より、実施した工事の成績を高く評価するのは、「成績評定重視型」と呼ぶ方式。国交省の調査によると、簡易タイプの総合評価方式である「施工能力評価型」では、最低価格以外の応札者が最高得点者となって落札を決めるいわゆる「逆転現象」の発生割合が低く、13年度は22%にとどまった。類似工事の施工実績では点数に差が付きにくく、応札額が低入札価格調査の基準額付近に集中する傾向も強まっている。そこで過去に施工した直轄工事の「成績」に着目した。成績が高かった企業を評価することは、工事の品質向上にもつながると判断した。過去の工事成績は、新たに発注した工事の成績と連動している傾向があることも確認している。試行対象となるのは施工能力評価型が有力とみられるが、技術提案評価型でも採用される可能性がある。「直轄工事の実績がない企業が参入しにくい」との声が業界側にあることを踏まえ、「チャレンジ型」と「自治体実績評価型」という2種類の方式の試行も拡大する。チャレンジ型は企業の実績は加点評価せずに、技術提案(施工計画)だけを評価する仕組み。関東、近畿、九州の各整備局と沖縄総合事務局が試行している。

自治体実績評価型も既に試行している関東整備局では、都県や政令市が発注した工事の成績や表彰を評価対象に追加。自治体工事の評価点に補正係数を掛けて直轄工事の成績に置き換えている。併せて、「WTO技術提案評価型S型」で技術評価点の「1位同点」が発生している問題への対応策もまとめた。技術提案のテーマの陳腐化や提案内容の一般化が要因の一つとみて、課題への解決策に加え、解決策へたどり着いた過程や問題意識の記述を求めたり、同点となった技術提案を再度審査して点数上の優劣を付けたりする。一部地方整備局が既に試行している取り組みで、全国の整備局で共有する。.

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