2015/04/30 自治体4割が歩切り実施/3分の2は見直し予定/国交省・総務省、撤廃を再要請

【建設工業新聞 4月 30日 1面記事掲載】

国土交通、総務両省は28日、公共工事の入札で予定価格を根拠なく引き下げる「歩切り」の実態調査結果を発表した。全地方自治体(1788団体)が回答。今年1月1日時点で、約4割に当たる757団体が歩切りを実施していたが、うち3分の2の団体が「見直す予定」とした。一方、156団体は見直しに否定的な見解を示した。

両省は調査結果を踏まえ、同日付で自治体に対し歩切りの撤廃を再度要請。6月をめどに再調査を実施することも決めた。全自治体を対象に歩切りの実態を調査したのは初めて。再調査は、見直す方針を示さなかった156団体を中心に実施し、その後、個別に理由も聴取する。それでも対応に変化が見られない場合は、自治体名の公表に踏み切る方針だ。

調査結果によると、ほぼすべての自治体が歩切りの違法性や定義を示した国交省作成のリーフレットの内容を「理解した」と回答。その上で、42・3%に当たる757団体が「設計書金額から減額して予定価格を決定している場合がある」と答えた。歩切り実施の理由を大きく分けると、459団体が「慣例による」や「自治体財政の健全化や公共事業費の削減のため」などとし、297団体が「端数処理」などを挙げた。

459団体を細かく見ると、6割強に当たる303団体が「今後見直しを行う予定」で、うち259団体はこの4月末までに見直すと回答した。このため、現時点では歩切りを続けている自治体は4割を下回っているとみられる。一方、149団体が見直しは「未定」とし、「見直しを行う予定はない」と答えた自治体も7団体あった。調査結果を受けて両省は、早期の見直し検討を求める国交省土地・建設産業局長と総務省自治行政局長連名の文書を都道府県知事や政令市長などに出した。

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