2015/06/18 国交省/工事代金の早期資金化で新スキーム/電子記録債権活用で印紙不要に

【建設工業新聞 6月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は、完成した部分の工事請負代金の債権を資金化する「地域建設業経営強化融資制度」で、電子記録債権を活用することを決めた。利用する建設会社は印紙代の負担が不要になり資金調達コストを抑えられるほか、現行スキームより早期に現金化できるメリットがある。金融機関や事業協同組合、債務保証先の建設業振興基金などの準備が整い次第、新スキームを利用できる。事業協同組合が転貸融資する現行スキームの活用も引き続き可能だ。

同制度では、出来高が5割以上に達した公共工事の完成部分の請負代金を譲渡することで、建設会社は低利融資を受けられる。返済には発注者から支払われる工事代金をそのまま充てる仕組み。現行スキームは、債権譲渡を受けた事業協同組合が、建設業振興基金の債務保証を受けて金融機関から資金を調達し、その資金を事業協同組合が建設会社に転貸融資している。建設会社が負担する金利や出来高査定の費用は、国の「建設業金融円滑化基金」から助成している。新スキームでは、事業協同組合が電子記録債権を発行した瞬間に金融機関が建設会社に入金する。事業協同組合が金融機関から資金を調達する手間が省かれるため、現金化までの時間が短くなる。電子記録債権には印紙(4万~6万円程度が一般的)が不要なため、建設会社の負担も減る。

工事請負代金債権の譲渡先が事業協同組合で、振興基金が債務保証を行うのは現行スキームと同じ。建設会社は電子記録債権の受取人として利用者登録手続きを行えば、新スキームを利用できる。金融機関から入金されるのは金利相当分が割り引かれた金額になる。国交省は導入に向けて▽企業の信用に寄らないノンリコース割引▽下請企業への裏書譲渡禁止▽発行日の即時資金化-を条件に設定した。既に金融機関向けの説明会を開いており、今後、金融機関や振興基金間の債務保証契約といった準備が整えば新スキームが始動する。新スキーム導入の背景には、金利や出来高査定費用、印紙代への助成の財源となっていた国の円滑化基金が本年度中に枯渇する見込みとなったこともある。

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