2015/07/21 国交省/「歩切り」撤廃違反、15年内にも発注者名公表/HPで行程表公開

【建設工業新聞 7月 21日 1面記事掲載】

国土交通省が、公共工事の入札で予定価格を切り下げる「歩切り」の撤廃に向けたロードマップ(行程表)をまとめた。適正な積算に基づく設計書金額の一部を控除することは、予定価格の適正な設定を発注者の責務とした改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に違反する。国交省は、地方自治体への2度にわたる実態調査を経ても歩切りを改めない発注者は個別名を年内にも公表する。根絶の道筋を明確にすることで、各発注者が自らの判断で歩切りをやめるよう促す。ロードマップは、17日に国交省のホームページ上で公開した。14年6月に改正公共工事品確法が施行されて以降に行った歩切り根絶に向けた取り組みとして、▽全国の首長と同省幹部の意見交換や総務省と連携した自治体への度重なる要請▽歩切りの定義を初めて示したリーフレットの作成▽発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)での関連事項の明記▽実態調査の実施-などを時系列で整理した。

今後の予定として、24日を締切日として現在行っている2回目の実態調査の結果を8月までにまとめることや、歩切り行為が疑われる発注者にその理由を聴取した上で改善を促し、なお改めない場合には年内にも個別発注者名の公表に踏み切ることを明記した。改正公共工事品確法で違法性が明確化されて以降、歩切り根絶に向けた動きは、都道府県が主導する形で見られるようになってきた。愛媛県では、県内20市町すべてで、予定価格を「設計書金額と同額」とする運用を1月に開始。14年度内に歩切りの廃止を目指した石川県では、個別交渉を経て今年4月に県内19市町すべてで撤廃されたことを確認した。栃木県も15年度から県内全市町で歩切り撤廃を完全実施した。地方公共工事契約制度運用連絡協議会(地方公契連)で周知を図ってきた大分県でも、個別交渉を重ねることで、15年度から県内18市町村すべてで歩切りが撤廃された。国交省は、先進事例をロードマップとともにホームページで公表。総務省と共同での要請が、行政、議会、業界が一体となった取り組みにつながったとみている。取り組みが全国に広がれば、個別発注者名の公表を回避できる可能性もある。

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